前立腺 が ん 転移。 前立腺がん転移と「PSA」の関係とは?

◆◆ PSAの値と前立腺がんの骨転移 ◆◆

前立腺 が ん 転移

前立腺がんとは• 治療法• 再発の診断と治療• 前立腺がんとは 前立腺は男性にしかない臓器で、精液の一部を作っています。 また前立腺の背側は、直腸に隣接しているため、肛門から指を入れることにより 直腸診 、直腸壁越しに容易に触れることが出来ます 図1。 この前立腺に発生するがんを前立腺がんといいます。 正常前立腺は栗の実のような形で、移行領域と中心領域からなる内腺部と辺縁領域からなる外腺部からなります。 前立腺がんは、欧米諸国では男性のがんの中で大変多いがんとして知られています。 とくに黒人、白人に発症頻度が高く、アメリカ合衆国においては男性のがんの中で罹患数は1位、死亡数は肺がんに次いで2位と最も多いがんの一つとなっています。 わが国においてはまだそれほど多くはありませんが、泌尿器科で扱う男性のがんの中では、罹患率、死亡率、ともに一番多いのが前立腺がんです。 また、将来的には最も増加するがんの一つとして注目されています。 1975年に前立腺がんを発症した患者さんは2,000人程度でしたが、2000年には約23,000人、2020年には78,000人以上となり、2020年には肺がんに次いで罹患数の第2位になると予測されています。 前立腺がんは一般的には50歳以降に発生し、特に60歳以降に直線的に増加していきます。 前立腺がんの発生に関与するリスクファクターとしては、加齢、食生活の欧米化(動物性脂肪の摂取量の増加)、前立腺がんの家族歴、人種 黒人 があげられます。 前立腺の生理作用は男性ホルモン(アンドロゲン)の作用により維持されています。 また、前立腺の成長や前立腺に発生する前立腺がんおよび前立腺肥大症などの病気の進行にも、男性ホルモンが関与しています。 しかし、その男性ホルモンが前立腺がんの発生にも関与しているといわれていますが、その発がんのメカニズムはまだ明らかになっていません。 そのため予防法も明らかになっていませんが、疫学的には古典的な日本食のように動物性脂肪の摂取を減らし、緑黄色野菜を多く摂取する食生活がよいと考えられています。 診断 現在、前立腺がんの腫瘍マーカーとして、血中PSA 前立腺特異抗原 の測定は最も有用な方法です。 PSAは前立腺に特異的な蛋白質です。 PSAは健康なときにはほとんどが精液の安定化の役割を持って精液中に流れています。 一部は、血液中に存在していますが、前立腺がんが発生すると、より多くのPSAが血液中に流れ出します。 そのためPSAは非常に敏感な腫瘍マーカーといわれ、PSA検査は前立腺がんの早期発見には必須項目です。 PSA値が正常の値よりも高ければがんが疑われることになり、PSA値が高くなるにつれてがんの確率も高くなっていきます。 しかし、PSA値が正常値より高値だからといって、必ずしも前立腺がんであるとは限りません。 前立腺肥大症や前立腺炎でもPSA値が高値となることもあります。 2%)にがんが見つかります。 0%)と、より高い値では高くなるほどがんの発見率は高くなります。 さらにPSAは前立腺がんのスクリーニング、診断に有用なだけでなく、がんの局所進展や転移とのよく相関し、治療効果の判定、再発の診断などにも非常に有用です。 したがって、PSA値が高い場合には、さらに前立腺がんである可能性を調べるために、直腸診、経直腸的超音波検査、前立腺生検等をおこないます。 PSA値や直腸診、経直腸的前立腺超音波検査によってがんが疑われる場合、確定診断をするために、前立腺の組織を採取する前立腺生検を行い、がん細胞の有無を病理学的に診断します。 前述の経直腸的前立腺超音波検査で前立腺内部を観察しながら、バイオプティガンという自動生検装置を用いて、細い針で前立腺を刺して組織を採取します。 当センターでは、初回は経直腸的12か所生検を行います。 生検場所を工夫することにより、他院よりも高い陽性率で、がんが同定されています。 当院では、初回経直腸的前立腺生検では癌が同定できず、なお癌の存在が否定できない患者さんに対して、テンプレート(格子)を使用した、経会陰的前立腺多数箇所生検を行っています。 この方法の利点として、経会陰的(肛門と陰茎の間の皮膚経由)に行うことにより、前立腺の軸方向に平行に穿刺できるので、経直腸的な穿刺においては採取が困難な、尿道腹側、尿道背面の前立腺組織が確実に採取できること、テンプレート(格子)を使用することにより、どの部位を採取したかの確認が出来き、且つ均等に前立腺を網羅する様に多数箇所生検できることです。 また、一度に沢山の組織を採取して、癌の有無の確定をされたい患者さんに対しても有効であると考えています。 前立腺生検の結果、病理検査で前立腺がんの診断がされると、前立腺がんの場合、がんの細胞の構築の悪性度をグリーソンスコアという病理学上の分類を使って表します。 この分類は、米国のグリーソン博士によって提唱された、前立腺がん特有の組織異型度分類です。 最近では、前立腺がんの治療法を選ぶ際に、重要な分類法です。 3-5はがんと判断されます。 まず、生検で採取したがん細胞の組織構造を顕微鏡で調べて、もっとも面積の多い組織像と、2番目に面積の多い組織像を選びます。 次に、それぞれの組織像を図に示す1(正常な腺構造に近い)〜5(もっとも悪性度が高い)までの5段階の組織分類に当てはめます。 そして、その2つの組織像のスコアを合計したものが、グリーソンスコアになります。 グリーソンスコアでは、もっとも悪性度の低い「2」から、もっとも悪性度の高い「10」までの9段階に分類されることになります。 たとえば最も面積の多い組織像が「3」で、2番目に面積の多い組織像が「4」の場合は、「3」+「4」=「7」となります。 一般的に、生検でのグリーソンスコアでは、スコアが「6」以下は性質のおとなしい前立腺がんであり、「7」は前立腺がんの中で最も多く認められ、中程度の悪性度であり、「8」以上は悪性度の高い前立腺がんと診断されます。 Gleason scoreの注意点は、評価する病理医により差があり、その一致率は59. 8%に過ぎないことです。 そのため、当院にて治療を受けられ場合、他院で施行した生検組織(プレパラート)を持参していただき、当院で改めてGleason scoreを分類します。 前立腺生検で前立腺がんの診断が確定すると、病気の進行度を確認するためにCT(コンピューター断層撮影法:computed(computerized) tomography)、MRI(磁気共鳴画像法:magnetic resonance imaging)、骨シンチグラフィーを行います。 これらの検査により局所(前立腺)での進行度、リンパ節転移、骨転移や肺や肝臓などの遠隔臓器への転移の有無を確認します。 CT: 主にリンパ節転移やその他の臓器への転移の有無を確認するために行います。 MRI: 前立腺内でのがんの存在している場所、前立腺被膜より外への進展の有無、精嚢腺への浸潤の有無などを確認します。 骨シンチグラフィー: 進行した前立腺がんでは、骨への転移がしばしば認められます。 骨への転移の有無を調べるためには骨シンチグラフィーを行います。 骨シンチグラフィーは、放射性物質ががんの転移のある骨に集まる性質を利用した検査です。 放射性物質を静脈注射してから、シンチグラフィーで全身の骨を撮影すると、骨の転移部位が黒く映り、異常集積として確認されます。 直腸診の所見と前述の画像診断の結果などにもとづいて前立腺がんの病期を決定します。 前立腺がんの病期分類は少し複雑で、前立腺肥大症として経尿道的前立腺切除術 TUR-P などの手術が行われ、その病理組織から偶然に前立腺がんが見つかった場合にはT1aとT1bと分類されます。 PSA値の異常のみで、直腸診、画像診断で異常がなく、前立腺生検を行い、前立腺がんが見つかった場合にはT1cと分類されます。 直腸診や画像診断で異常があり、前立腺がんと診断されるとT2以上の分類になります。 病期分類(TNM分類)は、「T:原発腫瘍」「N:リンパ節転移」「M:遠隔転移」によって、がんの進行度(広がり)を分類します。 ステージAとは前立腺がんを疑わず、前立腺肥大症の手術の病理組織の結果、前立腺がんが見つかった場合でTNM分類のT1aとT1bに相当します。 また前立腺がんの疑いで検査を行い、前立腺がんであった場合には、ステージはBからDとなります。 ステージBは早期がんであり、前立腺内にがんが限局している場合でT2に相当します。 ステージCは前立腺周囲には留まっているが、前立腺被膜を越えているか、精嚢に浸潤している場合でT3とT4に相当します。 ステージDは転移を有するもので、D1とD2に分類され、所属リンパ節転移がある場合がD1(N1に相当)、所属リンパ節転移以外のリンパ節転移、骨その他臓器への転移がある場合がD2(M1に相当)となります。 またT1cは現在ステージB0とされています。 しかし最近では、ABCD病期分類は曖昧さを含んでいるため、可能な限りTNM分類に従って分類しています。 治療法 治療法を決定する前に、前立腺がんの危険度(risk)の分類を行います。 主に使用されているrisk分類は、AUA,EAU, NCCNの分類があります。 T stage 病気の広がり 、Gleason score(がんの病理学的な悪性度評価)、 PSA(血液マーカー)を使用して分類されます。 それぞれが3段階に分けられ、(T1-T2a, T2b, T2c- GS6, 7,8-10 PSA4-10, 10-20, 20-)、一番悪い因子により、riskが決定します。 Risk分類が行われたあとは、risk別の治療選択の提示がされます。 様々な選択肢がある前立腺癌の治療法の中から、適切な治療法を選択することは容易ではありません。 治療選択を行う一つの方法として、治療法を段階的に並べて、検討するアルゴリズム方法を考えています。 まず、治療介入を希望するかどうかが議論されます。 治療介入を希望しないのであれば、経過観察になります。 治療介入を希望した時点で、年齢が重要な因子です。 当院では75以下を手術適応年齢としていますが、それは、一般的に前立腺癌の期待余命は10年であり(10年間生存できる可能性が高い)、76歳の平均余命が10年未満であるので、前立腺癌で死亡するよりも他疾患で亡くなる可能性が高いと考えているからです。 手術を選択する上で、ポイントとなるのは、手術に伴う出血、手術後の尿の漏れ、性機能不全(ED)です。 現在は、自己血を貯血するのみで、他人の輸血を受けずにほとんどの手術が遂行可能です。 また、手術後の尿の漏れは、1年一部の患者さんを除いてPADが必要になります。 また、性機能不全(ED)は、神経温存で手術法を工夫することにより対応が可能です。 手術の低侵襲化も積極的に進めています。 しかし、年齢や、手術が許容できない場合、放射線治療、ホルモン治療が適応になります。 放射線治療は、組織内に放射線元素を留置する内照射(短期間で治療が終了:詳細下記参照)、対外から放射線をあてる外照射(IMRT強度変調放射線治療:2か月ほどかけ治療)があります。 また、男性ホルモンを下げることにより前立腺癌の進行を抑えるホルモン治療も可能です。 上記内容を段階的に相談しながら、適切な治療法を一緒に検討したいと思います。 基本的には手術によって根治が期待できる症例に対して行います。 前立腺を精嚢腺とともに摘出し 下図の赤い斜線部位 、膀胱と尿道を吻合する手術です。 通常は所属リンパ節も郭清します。 がんが前立腺の中にとどまっており、大きな合併症もなく期待余命が10年以上ある場合よい適応とされ、T1〜T2N0M0、およびT3aN0M0の一部が手術の適応となります。 手術の方法には開腹手術やロボット補助下腹腔鏡手術があります。 当センターではロボット補助下前立腺全摘除術を、積極的に行っています。 入院期間は、術後1週間で、手術時間は2-3時間程度です。 以前は出血量が多い手術といわれていましたが、ロボット補助下手術では無輸血で可能です。 本手術の合併症として、尿失禁と性機能障害がありますが、尿失禁に対しては、骨盤底筋群の強化、薬物投与で対処します。 術後3-6ヵ月で90%以上の患者さんが尿パッドのいらない状態まで改善します。 性機能障害についてですが、前立腺全摘除術では前立腺、精嚢腺摘出され、精管も切断するため、術後射精は出来ません。 通常は勃起を支配する神経を温存すれば、勃起機能を温存することが可能ですが、合併切除すれば勃起障害も起こります。 転移のない前立腺がん、すなわち早期がんから局所進行がん(T1N0M0〜T4N0M0)に対して、体の外から高エネルギーのX線を前立腺に照射して治療する方法です。 以前より当センター放射線治療部では、3次元原体照射法を用いて70〜74Gyの外照射を行ってきました。 2006年6月よりさらに精度が高く、より多くの放射線量を照射可能な最新型放射線治療装置トモセラピー TomoTherapy が導入され、強度変調放射線治療 IMRT を中心に治療を行っています。 現在は1日2Gyを週5回行い、合計37〜39回で約8週間の治療で、74〜78Gyの外照射を行っています。 副作用には頻尿、排尿時痛、血尿などの尿路の症状や頻便、排便時痛、直腸出血などが起こることがありますが、いずれも軽度であることが多く、通常は通院で治療しています。 また当センターでは、前立腺全摘術後のPSA再発に対して、積極的に外照射による救済放射線治療を行っています。 術後のPSA値を高感度で測定することにより、早期のPSA再発の判断し、救済放射線治療を行うことにより、良好な成績を認めています。 放射線を放出する物質 ヨウ素125 を密封した小さな線源を、前立腺の中に永久的に埋め込み照射する方法です。 通常、治療は3泊4日の入院で腰椎麻酔下にて行われます。 足を高く上げた砕石位という体位で、超音波の探子を直腸内に挿入固定し、前立腺の超音波で観察しながら、会陰部 陰のうと肛門の間 より前立腺内にヨウ素を密封した線源を、前立腺の体積に応じて50〜100個程度、永久的に挿入します。 線源は長さ4. 5mmで直径は0. 8mmでチタンで密封されています。 挿入された線源から体の外へ放出される放射能はごくわずかで、日常生活にほとんど制約はありません。 治療後約1年で放射能がなくなりますが、この治療を受けたことを記載したカードを1年間は携帯していただく必要があります。 合併症は、外照射と同様ですが、針を何本も前立腺に刺して線源を挿入するため、治療後一過性に排尿困難が起こることがあります。 この治療の適応は前立腺内にとどまった早期の前立腺がんの中でも、悪性度の低いものがよい適応とされています。 高リスクの症例は今のところ、当センターでは小線源治療はおこなわず、トモセラピーによる外照射法を行っています。 前立腺がんは、精巣および副腎から分泌される男性ホルモンによって増殖していきます。 内分泌療法(ホルモン療法)は、男性ホルモンの分泌抑制や働きを遮断することによって、前立腺がん細胞の増殖を抑制する治療法です。 内分泌治療には外科的去勢 精巣摘除術 と薬物療法があります。 薬物用法には注射と飲み薬があり、注射はLH-RH agonistもしくはantagonist、と呼ばれる注射剤を使います。 これを1ヵ月, 3ヵ月,6ヵ月に1回注射をすることにより男性ホルモンの分泌を抑制します。 また飲み薬は、男性ホルモンの前立腺がん細胞に対する働きを遮断する抗男性ホルモン剤 抗アンドロゲン剤 を内服します。 通常、内分泌治療は注射剤か飲み薬のどちらか、もしくは両方を併用して治療開始します。 副作用は、ほてり、のぼせ、急な発汗などのホットフラッシュと呼ばれる症状が多くみられます。 女性化乳房、性欲低下、勃起障害、肝機能障害などがあります。 内分泌治療は基本的には転移のあるがんに対して行われます。 転移した前立腺がんは、転移した部位の細胞も同じ前立腺がんの性質であるため、転移した部位にも同様に効果が期待できます。 しかし、手術や放射線治療を希望しない患者さんや、高齢者の転移のない前立腺がん患者さんに行うことがあります。 また、治療効果を高める目的で、手術や放射線治療の前 ネオアジュバント療法 と治療後 アジュバント療法 に内分泌治療が併用されることがあります。 特に当センターでは外照射法で前後の内分泌治療を積極的に併用して良好な治療成績を認めています。 しかし、内分泌治療は未治療前立腺がんの80%以上に効果が認められますが、長期間治療を継続していると、徐々に効果が弱くなり、再びがん細胞が増殖を始め、病状が進行し再燃がんと呼ばれる状態となります。 再燃前立腺がんに対しては、抗男性ホルモン剤の変更や、女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤の投与が行われますが、持続的な効果が得られることは少なく、治療に苦慮します。 このように内分泌治療は有効な治療法ですが、これのみで完治することは難しいと言われています。 再発の診断と治療 それぞれの治療を行った結果、一度低下したPSA値が再び上昇してきた状態です。 PSA値の上昇が再発の最初の兆候であるため、治療後は定期的にPSA値を測定し、その推移を確認します。 通常、PSA再発が認められなければ、臨床的な再発もないため、それ以上の画像診断を行うことは不要と考えられています。 各種治療後のPSA再発に対する標準治療はまだ確立していませんが、放射線治療、内分泌治療、化学療法などが状況に応じて行われます。 前立腺がんの予後も、他のがんと同様に病期が進行するほど予後は悪くなります。 また全身状態や年齢、がんの悪性度、さらに選択された治療法によっても左右されますが、全体的には前立腺がんは進行が遅いため、治療成績は比較的良好です。 当センターにおいて過去13年間で、T1〜3N0M0に行った手術症例の5年生存率は98. 内分泌治療単独で治療した場合は手術、放射線治療以下の成績となります。 最近の手術手技の向上、放射線治療の進歩に伴い、今後治療成績の更なる向上が期待されています。 平成2017年2月改訂.

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前立腺がん転移と「PSA」の関係とは?

前立腺 が ん 転移

「もっと知ってほしい前立腺がん転移のこと」 佐藤 威文先生(佐藤威文前立腺クリニック 院長) 前立腺がんの転移を含めた病期診断 病期診断は、直腸診でがんの大きさ、広がり、浸潤を診断し、MRIで浸潤の度合いやさらにリンパ節転移を診断します。 またCTスキャンではリンパ節や遠隔転移を調べ、骨転移は骨シンチグラフィーで診断します。 また、超音波だけでは見逃してしまう腫瘍を「MRI拡散強調画像(DWI)」という方法を用い、見分けることができます。 新たに超音波とMRIを融合させて、その部分だけピンポイントで組織をとってきてがんと診断する、そこだけ治療を行うというような方法も始まっています。 前立腺がんの転移に対する治療 【ホルモン療法(内分泌療法)】 前立腺がんの治療では、男性ホルモンを抑えるホルモン療法が主体となります。 【去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対する新しい治療】 従来抗がん剤だけだったものが、2つの新規ホルモン製剤(経口薬)、新規抗がん剤、放射性核種製剤など、新たに 4つの薬剤が使用されるようになりました。 男性ホルモンの合成を阻害する薬 コレステロールから男性ホルモンが作られて、これを糧に前立腺がんが増えます。 その部分をブロックする薬剤です。 肝機能障害や低カリウム血症などの副作用があるので、ステロイドの服用を厳守する必要があります。 また心血管疾患やその既往歴、中等度の肝機能障害がある場合などは慎重に投与する必要があります。 またカリウムの値も確認する必要があります。 新規アンドロゲン受容体拮抗薬 いくつかの種類の薬剤が保険適応になっています。 副作用は痙攣発作や食欲不振、倦怠感が一定の頻度で起きています。 そのときは内容に関し理解して継続するか、主治医と相談した上で薬の量を減らす、痙攣の薬を飲んでいる方は事前に主治医に伝える必要があります。 第2世代抗がん剤 直接がん細胞に作用してがん細胞が分裂するところを抑えていきます。 抗がん剤で、白血球が下がるため、高齢者に使用する場合は薬の量を最初から減らしたり、白血球の量を増やしたりする薬を使用します。 放射線核種製剤 注射により骨代謝が活発な骨転移部位に取り込まれ、薬剤より放射される放射線ががん細胞のDNAを分断します。 骨の他の部位と比べると少ないと考えられていますが、骨髄にもある程度の放射線が入ってきますので、骨髄抑制が起こることがあります。 したがって、投与前にヘモグロビン、白血球および血小板の数を確認したうえで見ていきます。 また炎症性の腸疾患の既往がある場合は治療前に申し出る必要があります。 【骨転移に対する治療】 骨転移は、がん細胞から様々な伝達物質が出て、最終的に破骨細胞が骨を壊す状況になります。 骨の回転や骨を壊していく状況を、それぞれ抗体製剤やビスフォスフォネート製剤、放射線核種製剤で抑えていきます。 また、緩和照射は疼痛コントロールを目的として骨に転移のあるところに放射線をあてていきます。 安静が保てれば照射できるので、骨の痛みがある人は主治医に確認するといいでしょう。 最後に、前立腺がん治療は手術、放射線療法、また複数の薬剤を組み合わせた薬物療法で患者さんを治療する集学的治療が可能になっています。 骨転移の状況はどうなのか、リンパ節や肺・肝臓などに転移はあるのか、それぞれの部位に合わせて治療を組み合わせていくことによって、生存期間を延ばせる治療が可能になってきています。 したがって転移がある状況や、ホルモン療法が効かない状況になっても決してあきらめずに、是非希望をもって治療に取り組んでいただければと思います。 また初期には運動したときや体勢を変えたときに、鋭い痛みがでるという方もいます。 尿が出にくい、排尿時に痛みや、尿や精液に血が混じる人もいます。 骨転移ですが、転移のある患者さんの 全体の約90%が骨に転移(出典2) しています。 背骨に転移すると中の脊髄、神経が圧迫されて、最初は痛みが出て、進行すると、麻痺や膀胱直腸障害といった症状が出ることもあります。 また骨折や、一部にはカルシウムが高くなることによる食欲不振や筋力低下といった症状もあります。 川上: 歩きにくいとか、どこか痛むような症状が出てきた場合、患者さん家族はどうしたらいいでしょうか。 加藤: 麻痺が出てきたらおよそ48時間以内に治療をしないと下半身麻痺が一生続くということがおきる場合があります。 この場合の対応は、緊急手術や(これは脳神経外科や整形外科の先生が行います)緊急的に放射線で治療する場合もあります。 痛みの場合は外来で医師や看護師に相談するのが必要でしょうし、麻痺のような対応については夜中でも救急外来などですぐに受診することが大切です。 川上: 実際生活のなかで骨折した場合はどのようにしたらいいでしょうか。 加藤: 病的骨折は通常の骨折のようには自然には治りませんが、あきらめる必要はありません。 手術療法や放射線照射、骨に対する薬物療法も出てきています。 また、骨折が起こる前の段階で使う薬物もあります。 症状がない段階でも薬物療法を行うことで骨折のリスクを軽減させる。 それによって長生きできるデータも出てきています。 症状がないから治療する必要がないということはありませんので主治医と相談してください。 川上: 主治医とのコミュニケーション、どのように伝えたらいいでしょうか。 加藤: 限られた時間内での診察では、自分の考えを整理して一番困っていることをまとめ、またどこまで知りたいかということも伝えられるといいでしょう。 今年、米国臨床腫瘍学会で、通常の外来診療だけで対応している患者さんと、受診しない時でも医療者が定期的に症状や副作用などについて質問票でやりとりした患者さんとの間で、生存率に差が出たという データ 出典3 が発表され大きな話題となりました。 患者さんが医療者に症状を伝えるということは、医療者もより早く対応できるので、治療効果が上がります。 出典1:日本臨床腫瘍学会編: 骨転移診療ガイドライン. 南江堂, p5-7, p. 13, p58, 2015. 出典2:Reproduced Eur Urol. Vol66 Issue Gandagila G et al. Impact of the site of metastases on survival in patients with metastatic prostate cancer pages 325-334• 出典3:JAMA 2017,318 197-8 「治療と向き合う上で大切なこと〜骨転移を体験して〜」川﨑陽二さん 私は2012年に前立腺がんと診断されました。 告知されたときは頭が真っ白で、骨転移のことを理解できませんでした。 腰痛や肩こりは職業病や年齢的なものかなと思っていましたが、主治医から、それは骨転移だと知らされました。 最初は小さな痛みから、全身を針でさされるような痛みに襲われました。 がん告知からすぐにビスフォスフォネート剤の点滴を受け、現在も骨吸収抑制剤を投与しています。 夜も眠れぬ痛みから、主治医に相談して放射線製剤による緩和治療を受けました。 一時期安定しましたが、4年後に新たな痛みが襲いました。 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、神経性疼痛、骨転移から影響されたと思われる痛みです。 骨転移の第2の治療ととらえて、整形で治療しています。 徐々に痛みが強くなり歩行困難になったので、3週間ごとに硬膜外ブロック注射を打って生活しています。 仕事は介護職でしたが、継続は無理と判断して辞めました。 今はQOLを保ち自分の負担にならないような生活を続けています。 治療は泌尿器科、整形外科の主治医と納得するまで話し合いました。 放射線緩和治療、口腔外科受診、硬膜外ブロック注射。 これらを経験してなかでも大事だと思ったのは口腔外科でした。 口のなかも健康なときと違います。 口腔内は荒れ、歯の痛みもあるので4週ごとに受診して、処置や消毒をしてもらっています。 これからは、転倒防止策について学び、就活(社会復帰)したいと思っています。 最後に皆さんにお伝えしたいことは、職業柄とか年齢とか自己判断せずに、骨の痛みは医師でもわからないですから、小さな症状でも主治医に伝えてください。 そして無理をしない。 生活の質を保ったほうが、ストレスが溜まらずいい治療ができると思います。 PSAがどのぐらいアップしたら転移の可能性があるのでしょうか? 佐藤:例えば、PSA が0. 一方、治療して1年以内にPSAが0. すぐに画像診断をします。 武内:放射線治療の場合、数値の最低値から2. 0上がったらPSA再発と言われています。 私は最低値が0. 6なので、2. 6を超えたら再発ということになります。 ここ4,5年前からPSA再発、転移の予備患者と言うか、いまだにはっきり見える転移は現れていません。 一般的にPSA値が高いと注射剤で男性ホルモンの働きを抑えますが、私はそれをせず、前立腺のところでブロックする薬を飲んでいます。 それでPSAが下がると薬をやめます。 またPSAが上がってきたら再開する、間欠療法というのをやっています。 あくまでも私の場合です。 これは医師にも賛否があります。 骨転移がいっきに広まる方もいれば、ゆっくり広がる方もいるので、自分の病状を見ながらそれにあった治療を選択してもいいかなとも思います。 また、みなさんPSAは気にされますが、ALP(アルカリホスファターゼ)はあまり馴染みがないようです。 骨転移したら、ALPの値を見ていくことも大事だと思います。 加藤:ある程度進行した状況、いくつもの薬剤を使うような状況になりますと、PSAの値が変わらなくても画像で悪化する場合もあります。 先ほど武内さんがおっしゃったALPがより当てになる時期もありますので、PSAが全てと考えないほうがいいということを覚えておいてください。 ホルモン療法が効きにくくなった段階だと間欠療法も合う人と合わない人がいる。 個々の患者さんの状況に応じて主治医と相談するのがいいと思います。 後藤:PSAの有用性は前立腺がんの病期や時期によって違ってきますので、患者さんに合った細かい説明が必要です。 患者さんの状況によって治療方針や考えが異なりますので、患者さんの病状を一番知っている主治医と相談するのが大切です。 川上:食習慣について教えてください。 加藤:特に、何か一つのものを食べればいいというものはありません。 大豆(イソフラボン)がいいという傾向はありますが、世界中で評価されているわけではありません。 米国などでは赤身の肉はよくないのではないかということが、何万人のスタディで言われていて、傾向はありますが、はっきり証明されていないのが現状です。 佐藤:今30代の方が、30年後の前立腺がんの発症を抑えるために、イソフラボンやリコピンの摂取は効果があるかもしれませんが、前立腺がんと診断されてから食生活を改善しても間に合わないでしょう。 それよりも、ホルモン療法が入っているので、肝機能障害や脂肪肝などを併発することで、後で新しいホルモン療法や抗がん剤などが使えないということがないように食生活を正しくして体調管理をすることが大切です。 川崎:私は、野菜中心で肉や魚も晩酌もやっています。 川上:最後に皆さんから来場者にメッセージをお願いします。 武内:痺れがでたり、膝がかくっとしたりすると要注意ということを覚えておいてほしい。 骨転移1つ2つがあってもうだめだと思う人もいますが、積極的な治療で改善するケースが珍しくありません。 なんか工夫できないかということも相談されてみたらどうでしょう。 川崎: 私の場合、私をとりまく医療スタッフがすごくよかった。 主治医から臨床心理士を紹介され、臨床心理士からソーシャルワーカー、看護師と、彼らに精神面を、主治医には身体面をサポートしてもらいました。 その方たちから、ストレスをためないことを教わりました。 骨転移のことも理解して、前向きに治療をすることで、ストレスをためない今があると信じています。 加藤:ストイックに生きるわけではなく、80代の人を検査すると6 割から前立腺がんが見つかるというデータもあります。 前立腺がんをお持ちのみなさんが全て命にかかわるというわけではないので、病気と付き合いながら、ぜひ人生を楽しんでいただきたいです。 佐藤:一言でいうとあきらめない。 どのような厳しい状況にあっても常に何かのオプションはあります。 ただ、患者さんによっては、残念ながら本当に厳しい最後を避けられないことはあります。 そういうときにも、病院を転々として動くのではなく、気持ちを切り替えて、今を生きることが大切です。 しかし、多くの方はコントロールが出来るようになっているので、やはり情報は集め、希望を持って治療にのぞむという気持ちが必要だと思います。 後藤: 30年以上前でも前立腺がんの転移のある人は多かったですが、10年以上前のホルモン治療で元気な人はたくさんいたように覚えています。 今これだけ治療があるので、あまり希望をもってと言い過ぎるのもいけないとは思いますが、骨転移があっても、前向きに治療を受けたらいいと思います。 川上:ありがとうございました。 出典4:Roach M 3rd, Hanks G, Thames H Jr, et al. Defining biochemical failure following radiotherapy with or without hormonal therapy in men with clinically localized prostate cancer: recommendations of the RTOG-ASTRO Phoenix Consensus Conference. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006; 65: 965-74.

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前立腺がんが転移しやすい臓器やその症状について

前立腺 が ん 転移

前立腺がんとは• 治療法• 再発の診断と治療• 前立腺がんとは 前立腺は男性にしかない臓器で、精液の一部を作っています。 また前立腺の背側は、直腸に隣接しているため、肛門から指を入れることにより 直腸診 、直腸壁越しに容易に触れることが出来ます 図1。 この前立腺に発生するがんを前立腺がんといいます。 正常前立腺は栗の実のような形で、移行領域と中心領域からなる内腺部と辺縁領域からなる外腺部からなります。 前立腺がんは、欧米諸国では男性のがんの中で大変多いがんとして知られています。 とくに黒人、白人に発症頻度が高く、アメリカ合衆国においては男性のがんの中で罹患数は1位、死亡数は肺がんに次いで2位と最も多いがんの一つとなっています。 わが国においてはまだそれほど多くはありませんが、泌尿器科で扱う男性のがんの中では、罹患率、死亡率、ともに一番多いのが前立腺がんです。 また、将来的には最も増加するがんの一つとして注目されています。 1975年に前立腺がんを発症した患者さんは2,000人程度でしたが、2000年には約23,000人、2020年には78,000人以上となり、2020年には肺がんに次いで罹患数の第2位になると予測されています。 前立腺がんは一般的には50歳以降に発生し、特に60歳以降に直線的に増加していきます。 前立腺がんの発生に関与するリスクファクターとしては、加齢、食生活の欧米化(動物性脂肪の摂取量の増加)、前立腺がんの家族歴、人種 黒人 があげられます。 前立腺の生理作用は男性ホルモン(アンドロゲン)の作用により維持されています。 また、前立腺の成長や前立腺に発生する前立腺がんおよび前立腺肥大症などの病気の進行にも、男性ホルモンが関与しています。 しかし、その男性ホルモンが前立腺がんの発生にも関与しているといわれていますが、その発がんのメカニズムはまだ明らかになっていません。 そのため予防法も明らかになっていませんが、疫学的には古典的な日本食のように動物性脂肪の摂取を減らし、緑黄色野菜を多く摂取する食生活がよいと考えられています。 診断 現在、前立腺がんの腫瘍マーカーとして、血中PSA 前立腺特異抗原 の測定は最も有用な方法です。 PSAは前立腺に特異的な蛋白質です。 PSAは健康なときにはほとんどが精液の安定化の役割を持って精液中に流れています。 一部は、血液中に存在していますが、前立腺がんが発生すると、より多くのPSAが血液中に流れ出します。 そのためPSAは非常に敏感な腫瘍マーカーといわれ、PSA検査は前立腺がんの早期発見には必須項目です。 PSA値が正常の値よりも高ければがんが疑われることになり、PSA値が高くなるにつれてがんの確率も高くなっていきます。 しかし、PSA値が正常値より高値だからといって、必ずしも前立腺がんであるとは限りません。 前立腺肥大症や前立腺炎でもPSA値が高値となることもあります。 2%)にがんが見つかります。 0%)と、より高い値では高くなるほどがんの発見率は高くなります。 さらにPSAは前立腺がんのスクリーニング、診断に有用なだけでなく、がんの局所進展や転移とのよく相関し、治療効果の判定、再発の診断などにも非常に有用です。 したがって、PSA値が高い場合には、さらに前立腺がんである可能性を調べるために、直腸診、経直腸的超音波検査、前立腺生検等をおこないます。 PSA値や直腸診、経直腸的前立腺超音波検査によってがんが疑われる場合、確定診断をするために、前立腺の組織を採取する前立腺生検を行い、がん細胞の有無を病理学的に診断します。 前述の経直腸的前立腺超音波検査で前立腺内部を観察しながら、バイオプティガンという自動生検装置を用いて、細い針で前立腺を刺して組織を採取します。 当センターでは、初回は経直腸的12か所生検を行います。 生検場所を工夫することにより、他院よりも高い陽性率で、がんが同定されています。 当院では、初回経直腸的前立腺生検では癌が同定できず、なお癌の存在が否定できない患者さんに対して、テンプレート(格子)を使用した、経会陰的前立腺多数箇所生検を行っています。 この方法の利点として、経会陰的(肛門と陰茎の間の皮膚経由)に行うことにより、前立腺の軸方向に平行に穿刺できるので、経直腸的な穿刺においては採取が困難な、尿道腹側、尿道背面の前立腺組織が確実に採取できること、テンプレート(格子)を使用することにより、どの部位を採取したかの確認が出来き、且つ均等に前立腺を網羅する様に多数箇所生検できることです。 また、一度に沢山の組織を採取して、癌の有無の確定をされたい患者さんに対しても有効であると考えています。 前立腺生検の結果、病理検査で前立腺がんの診断がされると、前立腺がんの場合、がんの細胞の構築の悪性度をグリーソンスコアという病理学上の分類を使って表します。 この分類は、米国のグリーソン博士によって提唱された、前立腺がん特有の組織異型度分類です。 最近では、前立腺がんの治療法を選ぶ際に、重要な分類法です。 3-5はがんと判断されます。 まず、生検で採取したがん細胞の組織構造を顕微鏡で調べて、もっとも面積の多い組織像と、2番目に面積の多い組織像を選びます。 次に、それぞれの組織像を図に示す1(正常な腺構造に近い)〜5(もっとも悪性度が高い)までの5段階の組織分類に当てはめます。 そして、その2つの組織像のスコアを合計したものが、グリーソンスコアになります。 グリーソンスコアでは、もっとも悪性度の低い「2」から、もっとも悪性度の高い「10」までの9段階に分類されることになります。 たとえば最も面積の多い組織像が「3」で、2番目に面積の多い組織像が「4」の場合は、「3」+「4」=「7」となります。 一般的に、生検でのグリーソンスコアでは、スコアが「6」以下は性質のおとなしい前立腺がんであり、「7」は前立腺がんの中で最も多く認められ、中程度の悪性度であり、「8」以上は悪性度の高い前立腺がんと診断されます。 Gleason scoreの注意点は、評価する病理医により差があり、その一致率は59. 8%に過ぎないことです。 そのため、当院にて治療を受けられ場合、他院で施行した生検組織(プレパラート)を持参していただき、当院で改めてGleason scoreを分類します。 前立腺生検で前立腺がんの診断が確定すると、病気の進行度を確認するためにCT(コンピューター断層撮影法:computed(computerized) tomography)、MRI(磁気共鳴画像法:magnetic resonance imaging)、骨シンチグラフィーを行います。 これらの検査により局所(前立腺)での進行度、リンパ節転移、骨転移や肺や肝臓などの遠隔臓器への転移の有無を確認します。 CT: 主にリンパ節転移やその他の臓器への転移の有無を確認するために行います。 MRI: 前立腺内でのがんの存在している場所、前立腺被膜より外への進展の有無、精嚢腺への浸潤の有無などを確認します。 骨シンチグラフィー: 進行した前立腺がんでは、骨への転移がしばしば認められます。 骨への転移の有無を調べるためには骨シンチグラフィーを行います。 骨シンチグラフィーは、放射性物質ががんの転移のある骨に集まる性質を利用した検査です。 放射性物質を静脈注射してから、シンチグラフィーで全身の骨を撮影すると、骨の転移部位が黒く映り、異常集積として確認されます。 直腸診の所見と前述の画像診断の結果などにもとづいて前立腺がんの病期を決定します。 前立腺がんの病期分類は少し複雑で、前立腺肥大症として経尿道的前立腺切除術 TUR-P などの手術が行われ、その病理組織から偶然に前立腺がんが見つかった場合にはT1aとT1bと分類されます。 PSA値の異常のみで、直腸診、画像診断で異常がなく、前立腺生検を行い、前立腺がんが見つかった場合にはT1cと分類されます。 直腸診や画像診断で異常があり、前立腺がんと診断されるとT2以上の分類になります。 病期分類(TNM分類)は、「T:原発腫瘍」「N:リンパ節転移」「M:遠隔転移」によって、がんの進行度(広がり)を分類します。 ステージAとは前立腺がんを疑わず、前立腺肥大症の手術の病理組織の結果、前立腺がんが見つかった場合でTNM分類のT1aとT1bに相当します。 また前立腺がんの疑いで検査を行い、前立腺がんであった場合には、ステージはBからDとなります。 ステージBは早期がんであり、前立腺内にがんが限局している場合でT2に相当します。 ステージCは前立腺周囲には留まっているが、前立腺被膜を越えているか、精嚢に浸潤している場合でT3とT4に相当します。 ステージDは転移を有するもので、D1とD2に分類され、所属リンパ節転移がある場合がD1(N1に相当)、所属リンパ節転移以外のリンパ節転移、骨その他臓器への転移がある場合がD2(M1に相当)となります。 またT1cは現在ステージB0とされています。 しかし最近では、ABCD病期分類は曖昧さを含んでいるため、可能な限りTNM分類に従って分類しています。 治療法 治療法を決定する前に、前立腺がんの危険度(risk)の分類を行います。 主に使用されているrisk分類は、AUA,EAU, NCCNの分類があります。 T stage 病気の広がり 、Gleason score(がんの病理学的な悪性度評価)、 PSA(血液マーカー)を使用して分類されます。 それぞれが3段階に分けられ、(T1-T2a, T2b, T2c- GS6, 7,8-10 PSA4-10, 10-20, 20-)、一番悪い因子により、riskが決定します。 Risk分類が行われたあとは、risk別の治療選択の提示がされます。 様々な選択肢がある前立腺癌の治療法の中から、適切な治療法を選択することは容易ではありません。 治療選択を行う一つの方法として、治療法を段階的に並べて、検討するアルゴリズム方法を考えています。 まず、治療介入を希望するかどうかが議論されます。 治療介入を希望しないのであれば、経過観察になります。 治療介入を希望した時点で、年齢が重要な因子です。 当院では75以下を手術適応年齢としていますが、それは、一般的に前立腺癌の期待余命は10年であり(10年間生存できる可能性が高い)、76歳の平均余命が10年未満であるので、前立腺癌で死亡するよりも他疾患で亡くなる可能性が高いと考えているからです。 手術を選択する上で、ポイントとなるのは、手術に伴う出血、手術後の尿の漏れ、性機能不全(ED)です。 現在は、自己血を貯血するのみで、他人の輸血を受けずにほとんどの手術が遂行可能です。 また、手術後の尿の漏れは、1年一部の患者さんを除いてPADが必要になります。 また、性機能不全(ED)は、神経温存で手術法を工夫することにより対応が可能です。 手術の低侵襲化も積極的に進めています。 しかし、年齢や、手術が許容できない場合、放射線治療、ホルモン治療が適応になります。 放射線治療は、組織内に放射線元素を留置する内照射(短期間で治療が終了:詳細下記参照)、対外から放射線をあてる外照射(IMRT強度変調放射線治療:2か月ほどかけ治療)があります。 また、男性ホルモンを下げることにより前立腺癌の進行を抑えるホルモン治療も可能です。 上記内容を段階的に相談しながら、適切な治療法を一緒に検討したいと思います。 基本的には手術によって根治が期待できる症例に対して行います。 前立腺を精嚢腺とともに摘出し 下図の赤い斜線部位 、膀胱と尿道を吻合する手術です。 通常は所属リンパ節も郭清します。 がんが前立腺の中にとどまっており、大きな合併症もなく期待余命が10年以上ある場合よい適応とされ、T1〜T2N0M0、およびT3aN0M0の一部が手術の適応となります。 手術の方法には開腹手術やロボット補助下腹腔鏡手術があります。 当センターではロボット補助下前立腺全摘除術を、積極的に行っています。 入院期間は、術後1週間で、手術時間は2-3時間程度です。 以前は出血量が多い手術といわれていましたが、ロボット補助下手術では無輸血で可能です。 本手術の合併症として、尿失禁と性機能障害がありますが、尿失禁に対しては、骨盤底筋群の強化、薬物投与で対処します。 術後3-6ヵ月で90%以上の患者さんが尿パッドのいらない状態まで改善します。 性機能障害についてですが、前立腺全摘除術では前立腺、精嚢腺摘出され、精管も切断するため、術後射精は出来ません。 通常は勃起を支配する神経を温存すれば、勃起機能を温存することが可能ですが、合併切除すれば勃起障害も起こります。 転移のない前立腺がん、すなわち早期がんから局所進行がん(T1N0M0〜T4N0M0)に対して、体の外から高エネルギーのX線を前立腺に照射して治療する方法です。 以前より当センター放射線治療部では、3次元原体照射法を用いて70〜74Gyの外照射を行ってきました。 2006年6月よりさらに精度が高く、より多くの放射線量を照射可能な最新型放射線治療装置トモセラピー TomoTherapy が導入され、強度変調放射線治療 IMRT を中心に治療を行っています。 現在は1日2Gyを週5回行い、合計37〜39回で約8週間の治療で、74〜78Gyの外照射を行っています。 副作用には頻尿、排尿時痛、血尿などの尿路の症状や頻便、排便時痛、直腸出血などが起こることがありますが、いずれも軽度であることが多く、通常は通院で治療しています。 また当センターでは、前立腺全摘術後のPSA再発に対して、積極的に外照射による救済放射線治療を行っています。 術後のPSA値を高感度で測定することにより、早期のPSA再発の判断し、救済放射線治療を行うことにより、良好な成績を認めています。 放射線を放出する物質 ヨウ素125 を密封した小さな線源を、前立腺の中に永久的に埋め込み照射する方法です。 通常、治療は3泊4日の入院で腰椎麻酔下にて行われます。 足を高く上げた砕石位という体位で、超音波の探子を直腸内に挿入固定し、前立腺の超音波で観察しながら、会陰部 陰のうと肛門の間 より前立腺内にヨウ素を密封した線源を、前立腺の体積に応じて50〜100個程度、永久的に挿入します。 線源は長さ4. 5mmで直径は0. 8mmでチタンで密封されています。 挿入された線源から体の外へ放出される放射能はごくわずかで、日常生活にほとんど制約はありません。 治療後約1年で放射能がなくなりますが、この治療を受けたことを記載したカードを1年間は携帯していただく必要があります。 合併症は、外照射と同様ですが、針を何本も前立腺に刺して線源を挿入するため、治療後一過性に排尿困難が起こることがあります。 この治療の適応は前立腺内にとどまった早期の前立腺がんの中でも、悪性度の低いものがよい適応とされています。 高リスクの症例は今のところ、当センターでは小線源治療はおこなわず、トモセラピーによる外照射法を行っています。 前立腺がんは、精巣および副腎から分泌される男性ホルモンによって増殖していきます。 内分泌療法(ホルモン療法)は、男性ホルモンの分泌抑制や働きを遮断することによって、前立腺がん細胞の増殖を抑制する治療法です。 内分泌治療には外科的去勢 精巣摘除術 と薬物療法があります。 薬物用法には注射と飲み薬があり、注射はLH-RH agonistもしくはantagonist、と呼ばれる注射剤を使います。 これを1ヵ月, 3ヵ月,6ヵ月に1回注射をすることにより男性ホルモンの分泌を抑制します。 また飲み薬は、男性ホルモンの前立腺がん細胞に対する働きを遮断する抗男性ホルモン剤 抗アンドロゲン剤 を内服します。 通常、内分泌治療は注射剤か飲み薬のどちらか、もしくは両方を併用して治療開始します。 副作用は、ほてり、のぼせ、急な発汗などのホットフラッシュと呼ばれる症状が多くみられます。 女性化乳房、性欲低下、勃起障害、肝機能障害などがあります。 内分泌治療は基本的には転移のあるがんに対して行われます。 転移した前立腺がんは、転移した部位の細胞も同じ前立腺がんの性質であるため、転移した部位にも同様に効果が期待できます。 しかし、手術や放射線治療を希望しない患者さんや、高齢者の転移のない前立腺がん患者さんに行うことがあります。 また、治療効果を高める目的で、手術や放射線治療の前 ネオアジュバント療法 と治療後 アジュバント療法 に内分泌治療が併用されることがあります。 特に当センターでは外照射法で前後の内分泌治療を積極的に併用して良好な治療成績を認めています。 しかし、内分泌治療は未治療前立腺がんの80%以上に効果が認められますが、長期間治療を継続していると、徐々に効果が弱くなり、再びがん細胞が増殖を始め、病状が進行し再燃がんと呼ばれる状態となります。 再燃前立腺がんに対しては、抗男性ホルモン剤の変更や、女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤の投与が行われますが、持続的な効果が得られることは少なく、治療に苦慮します。 このように内分泌治療は有効な治療法ですが、これのみで完治することは難しいと言われています。 再発の診断と治療 それぞれの治療を行った結果、一度低下したPSA値が再び上昇してきた状態です。 PSA値の上昇が再発の最初の兆候であるため、治療後は定期的にPSA値を測定し、その推移を確認します。 通常、PSA再発が認められなければ、臨床的な再発もないため、それ以上の画像診断を行うことは不要と考えられています。 各種治療後のPSA再発に対する標準治療はまだ確立していませんが、放射線治療、内分泌治療、化学療法などが状況に応じて行われます。 前立腺がんの予後も、他のがんと同様に病期が進行するほど予後は悪くなります。 また全身状態や年齢、がんの悪性度、さらに選択された治療法によっても左右されますが、全体的には前立腺がんは進行が遅いため、治療成績は比較的良好です。 当センターにおいて過去13年間で、T1〜3N0M0に行った手術症例の5年生存率は98. 内分泌治療単独で治療した場合は手術、放射線治療以下の成績となります。 最近の手術手技の向上、放射線治療の進歩に伴い、今後治療成績の更なる向上が期待されています。 平成2017年2月改訂.

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