大江山の歌 たはぶる 意味。 大江山・十訓抄 現代語訳・品詞分解・原文

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大江山の歌 たはぶる 意味

- た - た[手] (名)「て」の転。 接頭語のように、名詞や動詞の上に冠してのみ用いる。 手操る。 手折る。 手向く。 た[誰] (代)「たれ」に同じ。 人代名詞の不定称。 万葉、[10-2240]「たそ彼(かれ)と我をな問ひそ九月(ながつき)の露にぬれつつ君待つわれを」 た (接頭)意味はなく、動詞や形容詞に冠する。 たなびく。 た走る。 たやすし。 た遠し。 だ[攤] (名) 1 「攤銭」の略。 銭を投げて、その表・裏の現われ方で勝負をするかけごと。 宇津保、あて宮「内にも、宮・殿上人集まりて、攤打ち遊びするに」 2 のち、「すごろく」の類。 その方法未詳。 徒然草、百五十七段「盃を取れば酒を思ひ、賽(さい)を取れば攤うたむことを思ふ」 たい[対] (名)「対の屋」の略。 枕草子、一「東の対の西の廂かけてある北の障子には、かけがねもなかりけるを」=東の対の屋のうちであるが、西側の廂の間をかけて、北へ折り回して立ててある北の襖障子には、戸締りの懸金もなかったのを。 だいあんじ[大安寺] (寺名)南都七大寺の一。 大和の国、奈良県添上郡大安寺村にある。 推古天皇の二十五年(617)創建。 現在の堂宇は明治後の再建にかかる。 大鏡、七、太政大臣道長「もろこしの西明寺の一院を、この国のみかどは大安寺にうつさしめ給へるなり」 たいえ[大衣] (名)袈裟の一種。 最も大きく、九条乃至二十五条のもの。 太平記、十七、還幸供奉人人被二禁殺一事「大衣を脱いで山徒のかたちに替へ」 たいえき[太液・大液] (名)中国、漢代の宮廷にあった池。 源氏、桐壺「太液の芙蓉、未央の柳も、げにかよひたりしかたちを」(長恨歌に「太液の芙蓉、未央の柳、芙蓉は面の如く、柳は眉の如し」とあるのによる。 顔の美しいこと) だいおんけうしゆ…キヨウ…[大恩教主] (名)「釈迦」の尊称。 一切衆生に広大な恩徳を施す教法の主の意。 謡曲、安宅「それにつらつらおもんみれば、大恩教主の秋の月は、涅槃の雲にかくれ、生死長夜の長き夢、驚かすべき人もなし」 たいか[大厦] (名)大きな建物。 たいかう…コウ[大行] (名) 1 大事業をなすこと。 また、その人。 太平記、九、足利殿御上洛事「大行は細謹を顧みずとこそ申し候へ」=大事業を行おうとする人は、少しの謹みなどはかえりみないと申します。 (「史記」の項羽紀にある語。 「謹」を「瑾」とするのは誤り) 2 天子が崩じてまだ諡を奉らない間の尊称。 大行天皇。 だいがく[大嶽] (地名)「比叡山」の別称。 宇治拾遺、二「大嶽の乾(いぬゐ)の方のそひに大なる巖(いはほ)あり」(「そひ」は「添ひ」で、「傍」の義) だいがくじどの[大覚寺殿] (寺名)「大覚寺」は今も京都市右京区大沢町にある寺。 後宇多法皇がこの寺に隠棲されたので、特に「大覚寺殿」と称する。 もと、嵯峨天皇の離宮であった。 徒然草、百三段「大覚寺殿にて近習の人ども、謎謎を作りて解かれける所へ、くすし忠守参りたりけるに」 だいがくのかみ[大学頭] (名) 1 大学寮の長官。 2 江戸時代、官学一切のことを統轄する職。 林氏の世襲となる。 だいがくれう…リヨウ[大学寮] (名)昔、紀伝・明経・明法・算道の四道のことをつかさどる役所。 式部省に属する。 たいかふ…コウ[太閤] (名) 1 関白の子が関白となった時、その父である「前の関白」の称。 2 豊臣秀吉の別称。 たいかふき…コウ…[太閤記] (書名)豊臣秀吉の一代記である。 二十二巻。 小瀬甫庵の著。 元和三年(1617)成る。 このほか「川角(かはずみ)太閤記」「真書太閤記」などもある。 たいき[台記] (書名)藤原頼長の日記。 近衛天皇の康治元年(1142)正月から、久寿二年(1155)に至る十四年間にわたる日記。 ところどころ欠けているところがあるが、保元の乱の有益な史料である。 たいげん[体言] (名)文法用語。 主語となることのできる単語。 すなわち、名詞・数詞・代名詞の総称。 「用言」の対。 だいけんもつ[大監物] (名)中務省の役人で、主として出納を監察する者。 古今著聞集、一、神祗「師方(もろかた)は大監物にて、いまだ儒官を経ざりければ」 たいけんもん[侍賢門] (名)大内裏外郭十二門の一。 東面中央南の門。 なかのみかど。 附図参照。 平治物語、二、侍賢門の軍「三千余騎を三手に分けて……陽明・侍賢・郁芳門へ押し寄せたり」 たいこう[太后] (名)皇后であられたお方で、次の天子の母となられたお方の尊称。 皇太后。 たいこう[退紅] (名)染色の名。 うすい桃色。 傘持・沓持などの狩衣を染めるのに用いる。 古今著聞集、九、弓箭「滝口大極殿にて賭弓(のりゆみ)のことありけり。 前の方は退紅の狩衣をぞ着たりける。 後ろは心にまかせたり」 だいこう[乃公] (代)自称代名詞。 自尊していう語。 渭水で釣をしている時、文王に見出され、文王・武王を助けて周をさかんならしめた。 古川柳「太公望鯛を半分釣り上げる」(「鯛」の半分は「周」。 周をさかんならしめたことをいう) たいごくでん[大極殿] (名)大内裏、朝堂院の北、中務省の西、豊楽院の東にある殿舎。 天皇の、政治をみそなわし、即位・朝賀などの儀式を行われた所。 附図参照。 大鏡、七、太政大臣道長「道隆は豊楽院、道兼は仁寿院の塗籠(ぬりごめ)、道長は大極殿へいけと仰せられければ」 だいざ[台座] (名) 1 仏像を安置する台。 2 物を載せる台。 また、器具の下敷。 たいざうかい…ゾウ…[胎蔵界] (名)大日如来の理法身をあらわした曼荼羅の称。 平家、二、卒都婆流し「それはよな、娑竭羅龍王の第三の姫宮、胎蔵界の垂跡なり」 たいさく[対策] (名)昔、官吏登用試験に、時務に関した問題の答案を作ること。 また、その答案。 宇津保、俊蔭「同じく作れる対策の思ふままに答へたる対策の文ども面白く興あり」 たいざんふくん[泰山府君] (神名)中国の泰山の神。 人の寿命をつかさどる神として、道家のまつるもの。 日本では、すさのおのみことに配して、陰陽家や仏家でまつる。 平家、九、浜軍「毎月ついたちごとに泰山府君をぞまつられける」 だいじきてう…チヨウ[大食調] (名)雅楽六調子の一。 宮音を平調とする呂調。 大食国(アラビア)の音階かという。 古今著聞集、六、管絃歌舞「時秋いまだ幼かりし時、時元はうせにければ、大食調・入調の曲をば時秋には授けず、義光にはたしかに教へたりけり」 たいじやう…ジヨウ[怠状] (名) 1 昔、罪人の服罪した時に書く謝罪状。 2 わび状。 あやまり証文。 保元物語、一、新院御謀叛思召立つ事「一の上の怠状を以下の臣下取り伝ふること、家の面目にあらずや」 3 あやまること。 謝罪すること。 古今著聞集、一、神祗「とかく怠状してゆりにけるとかや」(「ゆり」は「許される」) だいしやうじ…シヨウ…[大床子] (名) 1 主上の着御になる机のような形の台。 腰の高さ二尺。 清涼殿の日のおましにある。 増鏡、十三、今日のひかげ「弟の八郎といひて十九になりけるは、大床子の縁の下に臥して」 2 次項の略。 だいしやうじのおもの…シヨウ…[大床子の御もの] (句) 1 主上の正式の御食事。 大床子の上に着御して御膳をきこしめすのでいう。 源氏、桐壺「あさがれひのけしきばかり触れさせ給ひて、大床子の御ものなどは、いとはるかにおぼしめしたれば、陪膳にさぶらふ限りは、心苦しき御けしきを見奉りて嘆く」 だいじやうゑ…ジヨウエ[大嘗会] (名)天皇御即位の後、行わせられる新嘗(にひなめ)の称。 一世一度の盛儀である。 更級日記「そのかへる年の十月二十五日、大嘗会の御禊とののしる」 たいしゆ[太守] (名) 1 昔、上総・常陸・上野の三国の守(かみ)の称。 特に、親王が任ぜられる官と定められていたのでいう。 しかし、実際は介(すけ)が代わって守(かみ)の事を行った。 2 後世、誤って国主・大名の称。 たいしよくくわん…シヨツカン[大織冠] (名)昔、正一位に当たる最高の位に付けて授けられた冠の名。 天智天皇の八年(669)、藤原鎌足に授けられたのが最初である。 だいじん[大臣] (名)太政官の上官の称。 太政大臣・左大臣・右大臣など。 だいじん[大尽] (名)資産家。 百万長者。 また遊里で豪遊する客。 だいじん[大進] (名)よみ方が明確でない。 「タイシン」「ダイシン」「ダイジン」など。 今、しばらく「ダイジン」に従う。 昔、中宮職・皇太后職などの判官。 枕草子、一「大進生昌(なりまさ)が家の宮の出でさせ給ふに」(生昌は平氏。 文章生から中宮大進となり、但馬守・播磨守に至った人) たいせち[大切] (名)「たいせつ」に同じ。 讃岐典侍日記「さまでたいせちにも思し召さじと思ひて」 だいせん[堤闡] (名)慈悲の深い人。 謡曲、草子洗小町「聖徳太子は救世(ぐせ)の堤闡、片岡山の製を路生に弘め給ふ」(「片岡山の製」は、河内の片岡山で餓死した人をごらんになって「しなてるや片岡山に飯に飢ゑて臥せる旅人あはれ親なし」と詠まれ御歌をさす) だいせんかい[大千界] (名)「三千大千世界」に同じ。 だいぜんしき[大膳職] (名)禁中で膳部のことや諸臣に賜わる饗膳のことなどをつかさどる職。 また、その殿舎。 おほかしはでのつかさ。 栄花、紫野「叉の年のみそぎにぞ大膳職に渡らせ給ふ」(ここでは、殿舎) だいせんせかい[大千世界] (名)仏教で、中千世界を千合したものをいう。 たいそ[太素] (名) 1 世のはじめ。 万物のもと。 古事記、序文「かれ、太素沓冥なれども、本教によりて土(くに)を孕み島を産みたまふ時を識り」=さて、世のはじめというものは、(遠い太古のことで)はっきりしないが、神代の教訓・伝説によって、国土や島などをお産みになった時を知り。 2 きわめて質素なこと。 だいそうじやう…ジヨウ[大僧正] (名)僧官の第一位。 聖武天皇の朝、薬師寺の僧、行基がはじめてこの官に任ぜられた。 たいだいし (形、シク)「怠怠し」「回回(たみたみ)し」などの説があるが「怠怠し」の方が穏当なようである。 怠っている。 放任している。 わがままだ。 けしからぬ。 竹取「かくたいだいしくやは、ならはすべき」源氏、桐壺「いとたいだいしきわざなりと、ひとのみかどのためしまで引き出で、ささめき嘆きけり」 だいだいり[大内裏] (名)昔の「宮城」の称。 京都の中央北部にあって、「内裏」をその中につつむ。 東西八町、南北十町。 東西に四つずつ、南北に三つずつ、計十四の門がある。 だいたう…トウ[大唐] (地名)中国、「唐」の美称。 おほたう。 だいたふ…トウ[大塔] (名) 1 真言宗の七堂の一。 その七堂とは、金堂・講堂・灌頂堂・大師堂・経堂・大塔・五重塔。 おほたふ。 2 特に、比叡山の中央にある大塔の称。 だいたふのみや…トウ…[大塔の宮] (名)天台座主になられた皇族の称。 比叡山の大塔は、座主の住居されるところであるのでいう。 おほたふのみや。 太平記、五、大塔宮熊野落事「大般若の櫃の中をよくよく捜したれば大塔の宮はせいら給はで、大唐の玄弉三蔵こそおはしけれと戯れければ、兵皆一同に笑ひて門外へぞ出でにける」(この宮は、後醍醐天皇の皇子護良(もりなが)親王) だいぢやうふ…ジヨウ…[大丈夫] (名)「大」は美称。 立派な男子。 ますらを。 だいぢやうぶ…ジヨウ…[大丈夫] (名) 1 前項に同じ。 2 極めてすこやかなこと。 3 極めて堅固なこと。 決して危げのないこと。 たいてん[退転] (名) 1 仏教で、修行によって得た地位から、もとの地位に転落すること。 2 移りかわって悪くなること。 あともどり。 3 身代かぎり。 4 転じて、中絶すること。 謡曲、道成寺「久しく撞鐘退転仕りて候ふを」 たいど[大度] (名)大きな器量。 大度量。 だいどうじ[大童子] (名)年のたけた童子。 寺院で召し使う童子のうち、上童子に次いで年長のもの。 だいとく[大徳] (名)徳の高い僧。 また、一般に僧の尊称。 だいとく。 源氏、若紫「いとたふときだいとこなりけり」蕪村の句「だいとこの糞ひりおはす枯れ野かな」 だいとこ[大徳] (名)徳の高い僧。 また、一般に僧の尊称。 だいとく。 源氏、若紫「いとたふときだいとこなりけり」蕪村の句「だいとこの糞ひりおはす枯れ野かな」 だいないき[大内記] (名)内記の上位。 詔勅を草し、御所の記録のことをつかさどる職。 だいなごん[大納言] (名)太政官の次官。 大政に参与し、内に奏し、外に宣する職。 おほいものまうすつかさ。 御史大夫。 源氏、桐壺「父の大納言はなくなりて、母北の方なむいにしへの人のよしあるにて」 だいに[大弐] (名)大宰府の次官。 帥の下位、少弐の上位。 権帥を置かない時に置く。 だいにちによらい[大日如来] (名)仏教で、如来の一。 「日輪」をいう。 びるしやな。 九生如来。 だいにのさんみ[大弐三位] (人名)平安時代の女流文学者。 本名は藤原賢子(たかこ)。 紫式部と藤原宣孝との間に生まれ、高階(たかはし)成章の妻となる。 「狭衣物語」の作者と伝えられている。 生没年未詳。 だいにほんし[大日本史] (書名)漢文の国史書。 三百九十七巻。 徳川光圀の監修。 明暦三年(1657)着手、明治三十九年(1906)完成。 二百五十年を要した編著は、世界に類例がない。 神武天皇から後小松天皇に至るまでの歴史をしるす。 だいにほんやし[大日本野史] (書名)普通に略して「野史」と呼んでいる。 漢文の国史書。 二百九十一巻。 飯田忠彦の著。 水戸の「大日本史」に続け、後小松天皇から仁孝天皇に至るまでをしるす。 嘉永五年(1852)成る。 個人の業績として驚くべきものというべきである。 たいのや[対の屋] (名)略して「対」ともいう。 寝殿造において、寝殿の左と右、または北(背後)に相対して造った別棟の建物。 廊で寝殿と通ずるように造る。 「東の対」「西の対」「北の対」がある。 たいはく[太白] (名)「金星」の別称。 主として宵の明星をいう。 白色に光るので名づける。 平家、六、横田河原合戦「二月二十一日、太白、昴星(ばうせい)を侵す」(「昴星」は「すばる」) だいはちえふのくるま…ヨウ…[大八葉の車] (句)左右の側面の板に網代で八曜をつくった車を「八葉の車」といい、その大きなのを「大八葉の車」、小さなのを「小八葉の車」という。 だいばんどころ[台盤所](名) 1 「台盤」は宮中や貴人の家などで食物・食器などを載せる台。 台盤を置く所。 禁中、清涼殿内の一室で、女房の詰所。 2 転じて、貴人の北の方の称。 後の「みだいどころ」は、ここから起った名。 だいはんにやきやう…キヨウ[大般若経] (書名)正しくは「大般若波羅密多経」という。 略しては「大般若」という。 仏経、六百巻。 唐の玄弉の訳。 たいふ[大夫] (名) 1 「五位」をいう。 「右近の大夫」といえば五位の右近衛の将監、「大夫の尉」といえば五位の検非遣使の尉、「無官の大夫」といえば公卿の息で官の無い者の称。 十六夜日記「侍従・大夫などの、あながちに打ち屈したるさま、いと心苦しければ」(「侍従」は「為守」をさし、「大夫」は「為相」をさす) 2 能・狂言その他雑伎の者、または、遊女の頭(かしら)などの称。 もと、宮中に召される時、位がなければ入ることができないので、かりに五位に準ぜられたのに起る名。 この場合には、のちに、なまって「タユウ」と発音している。 たいふ[大輔] (名)太政官および八省の次官の上位の称。 その長官を輔佐する職。 おほいすけ。 だいぶ[大夫] (名)職(しき)の長官。 源氏、柏木「みやづかさ・だいぶよりはじめて、院の殿上人みなまゐれり」 だいふのはうぐわん…ホウガン[大夫の判官] (名)五位の検非違使の尉。 大夫の尉。 平家、十一、逆櫓「元暦二年正月十日の日、九郎大夫の判官義経院参して」 たいへいき[太平記] (書名)軍記物語の一。 四十巻。 小島法師の作ともいうが確かでない。 吉野朝の終りごろ成る。 後醍醐天皇の関東討伐の企てに筆を起し、足利義満の将軍となるまでを文学的に叙したもの。 和漢混淆体の美文調で、軍記物語としては、「平家」に次ぐ名文と称せられている。 たいへいらく[太平楽] (名) 1 雅楽曲の名。 「武将太平楽」をいい、唐の小破陣楽に基づき、平安時代のはじめから行われた。 もと、具足をつけて舞い、のち、素襖に指貫を着て舞う。 枕草子、九「まひは、もとめこ。 たいへいらくは、さまあしけれど、いとをかし」 2 転じて、勝手なことを言う義。 出放題。 「太平楽を並ぶ」 だいべん[大弁] (名)弁官の上位。 左大弁・右大弁がある。 おほともひ。 たいぼん[退凡] (名)凡人を退ける義。 一般人の入るを禁ずること。 徒然草、二百一段「退凡不乗の卒都婆」(この「卒都婆」は「立て札」の義) たいぼん[大犯] (名)「だいぼん」ともいう。 大きな犯罪。 放火・殺人・窃盗を「大犯三箇条」という。 たいまつる[奉る] (動、四)「たてまつる」の音便。 だいみやうそう…ミヨウ…[題名僧] (名)経供養の時などに、経の題名を読みあげる僧。 「題目僧」ともいう。 たいめ[対面] (名)「たいめん」の略。 宇津保、俊蔭「ときどきたいめ賜はする時侍れど」 だいめいし[代名詞] (名)文法用語。 体言の一。 人・事物・場所・方向などの名を言わずに、指して言う語。 人を指すものに「自称・対称・他称・不定称」の別があり、事物・場所・方向を指すものに「近称・中称・遠称・不定称」の別がある。 だいもん[大紋・大文] (名) 1 大形の紋所。 2 大形の模様。 平家、二、教訓「小松殿、烏帽子・直衣に、大文の指貫のそば取つて、ざやめき入り給へば」 3 江戸時代、諸大夫の礼服。 素袍に似た布製の直垂。 上に五つの紋をつけ、下に長袴をはく。 たいらう…ロウ[太牢] (名) 1 中国で、天子が社稷を祭る時に用いた犠牲の牛・羊・豚をいう。 2 転じて、牛・羊・豚などの饗応をいう。 たいらう…ロウ[大老] (名)徳川幕府の時の執政最高の職。 老中の上にあり、一人に限る。 将軍の幼少の時などに置き、普通の場合は欠く。 たいらん[台覧] (名)貴人のごらんになること。 たいり[大理] (名) 1 昔の中国で、刑獄をつかさどる官。 保元物語、二、為義最期の事「虞舜の天子たりし時、その父瞽? (こそう)人を殺害することにあらむに、時の大理なれば皐陶(かうやう)これを捕らへて罪を奏せむ時、舜はいかがし給ふべき」 2 検非違使別当の唐名。 徒然草、九十九段「堀川の相国は……御子基俊卿を大理になして庁務を行はれけるに」 だいり[内裏] (名)大内裏の中にあり、天子常住の御所。 たいりやう…リヨウ[大梁] (名)酉の方、すなわち、西方にある星の名。 転じて、酉の年の称。 古事記、序文「歳は大梁にやどり、月は夾鐘(けふしよう)にあたりて」=酉の年の二月で。 (天武天皇の御即位、癸酉の年、二月二十七日をいう) たうトウ[党] (名) 1 私党。 集団、武家時代、地方の豪族が他の豪族に対して自己の安全をはかるために作ったもの。 「児玉の党」「丹の党」 2 組。 なかま。 「党を結ぶ」 たういトウ…[檮衣] (名)砧(きぬた)で衣をうつこと。 たうおんトウ…[唐音] (名)漢字音の一。 「宋音」に同じ。 唐時代の字音の意ではなくて、唐土から来た字音の意。 「行燈」を「アンドン」とよむ類。 たうかトウ…[踏歌] (名) 1 昔、集団的な舞踊。 多人数が歌いながら足を踏み鳴らして庭上を回るもの。 歌の終りに「万年あられ」(万年あられよの意)と唱えたので「あらればしり」ともいう。 持統紀、七年正月「この日、漢人(あやひと)ら踏歌をつかまつる」 2 平安時代には「踏歌の節会」となり、正月十五日に男踏歌、十六日に女踏歌があり、天皇がごらんになり、のち宴を賜うた。 万歳楽。 たうさきトウ… (名)「ふんどし」のこと。 「たふさぎ」の転。 古今著聞集、十、馬芸「水の底にて、のどかに脱ぎとかれけり。 ……かやうの用意にや、かねてたうさきをなむかかれたりける」 たうしせんトウ…[唐詩選] (書名)七巻。 撰者未詳。 中国、唐時代の詩人の詩を集めたもの。 わが国でも、大いに読まれている。 だうじやうドウジヨウ[堂上] (名) 1 四位以上、昇殿をゆるされた者の称。 「地下」の対。 2 転じて、? 紳家の称 だうしんドウ…[道心] (名) 1 仏道に帰依する心。 菩提心。 枕草子、二「たふときこと、道心多かりとて、説経すといふ所に、さいそにゆきぬる人こそ」 2 十三歳または十五歳以上で仏道に入った人の称。 狂言、俄道心「何とも後生心許なうござるによつて、我に道心になつてござる」 だうしんすすむるドウ…[道心すすむる] (書名)あるいは「道心すすむる松が杖」か。 枕草子、九「物がたりは」にある書名であるが、伝わっていないので全く不明。 たうそうはつかぶんトウ…[唐宋八家文] (書名)三十巻。 中国、清の沈徳潜の編。 唐・宋の八大家の文を集めたもの。 すなわち、唐の韓愈・柳宗元、宋の欧陽修・王安石・曹鞏・蘇老泉・蘇東坡・蘇轍の八大家の文集。 だうそじんドウ…[道祖神] (神名)「さへのかみ」に同じ。 旅行の安全を守る神。 旅行の神。 奥の細道「道祖神の招きにあひて、取るもの手につかず」 たうでけりトウ…[賜うでけり] (句)「賜びてけり」の音便。 賜わった。 くださった。 平家、二、新大納言死去「御文賜びて参り候はむと申しければ、北の方なのめならずよろこび、やがて書いてぞたうでける」 だうなドウナ (接尾)「だくな」の音便。 太平記、十四、箱根竹下合戦事「矢だうなに遠矢な射そ」 たうばるトウバル[賜うばる] (動、四)「賜ばる」の延音。 賜わる。 たうばるトウバル (動、四)似る。 応神紀、九年四月「ここに壱岐の直の祖真根子(まねこ)といふ者あり。 その人となり、よく竹内宿禰の形にたうばれり」 たうぶトウブ[賜うぶ] (動、四)「賜ぶ」の延音。 くれる。 たうぶトウブ[給うぶ] (動、四)「給ぶ」の延音。 1 他の動作に添えていう敬語。 たまふ。 土佐日記「御館より出でたうびし日より」 2 自分の動作に添えていう謙譲語。 宇津保、梅花笠「桂川わたりに興ある所を持て侍りたうぶを」 たうぶトウブ[給うぶ] (動、下二)自分の動作に添えていう謙譲語。 宇津保、梅花笠「桂川わたりに興ある所を持て侍りたうぶを」 たうぶトウブ[給うぶ] (動、上二)他の動作に添えていう敬語。 大和物語「もていまして、深き山に捨てたうびよとのみ責めければ」 たうぶトウブ[食うぶ] (動、下二)「食ぶ」の延音。 古今集、九、覊旅「夕さりのかれいひたうべけるに」催馬楽、飲食「酒をたうべて、たべ酔うて」 たうまちいくゐトウマチクイ[稲麻竹葦] (名)稲・麻・竹・葦の葉や茎の入り乱れるように、事物のむらがり入り乱れたさまをいう語。 平家、三、公卿揃「余りに人多く参りつどひ、たかんなをこみ、稲麻竹葦の如し」(「たかんなをこみ」は「筍の簇生したように群集して」) だうみやうあざりドウミヨウ…[道命阿闍梨] (人名)平安時代の僧。 また、歌人。 大納言藤原道綱の長子。 嵯峨の法輪寺に居り、また、四天王寺の別当となる。 生没年未詳。 宇治拾遺、一「今は昔、道命阿闍梨とて、傅伝の子に色にふけりたる僧ありける。 和泉式部に通ひけり」(「傅伝」は「東宮の傅」すなわち、父の道綱) たうめトウ…[専女・専] (名) 1 老いた女。 土佐日記「おきな人ひとり、たうめ一人あるがなかに」 2 老いた狐。 百錬抄、九、延久四年十二月七日「藤原仲季、罪名を勘へて土佐の国に配流す。 斎宮の辺において、白き専女を射殺せしに依るなり」 たうりものいはずトウリ…イワズ[桃李もの言はず] (句)史記、李将軍列伝「桃李もの言はざれども、下おのずから蹊(こみち)を成す」=桃やすももは何ともものを言わないが、その花が美しく実が美味なので、多くの人がその下へやって来て、草原に自然に小道が出来てしまう。 そのように、人も学徳が高ければ黙っていても、多くの人が自然にその人を仰ぎ慕うという比喩。 和漢朗詠集、仙家「桃李不レ言春幾暮、煙霞無レ跡音誰栖 菅三品」徒然草、二十五段「桃李ものいはねば、誰と共にか昔を語らむ」 たえいる[絶え入る] (動、四)息が絶える。 たえす[絶えす] (動、サ変)絶える。 尽きる。 たえて[絶えて] (副) 1 いっこうに。 ちっとも。 竹取「この女(め)の童は、絶えて宮仕へつかうまつるべくもあらず侍るを、もてわづらひ侍り」 2 とびはなれて。 すぐれて。 古今集、十二、恋二「風吹けばみねにわかるる白雲のたえてつれなき君が心か 壬生忠岑」 たが[多賀] (地名)近江の国、滋賀県犬上郡多賀村。 多賀神社がある。 古事記、上「かれ、その伊邪那岐の大神は、あふみの多賀になもまします」 たかうすべう…ビヨウ[鷹護田鳥尾] (名)矢羽の名。 鷹の羽の、上下薄黒く、中央に薄黒い模様のあるもの。 たかうなタコウナ[筍・笋] (名)「たかむな」の音便。 たけのこ。 源氏、横笛「御寺の傍近き林に抜き出でたるたかうな」 たかがは…ガワ[高河] (名)雨が降って水量の増した川。 万葉、[12-2859]「飛鳥河高河避(よ)かし越え来しをまことこよひは明けず行かめや」 たかき[高城] (名)高地。 「城」の字に囚われてはならぬ。 古事記、上「うだの、たかきに、しぎわなはる」=宇陀の高地に、鴫を取るわなを張る。 同、下「みむろの、そのたかきなる、おほゐこがはら」=御室の高地にある大猪子が原。 たかくはらんかう…クワ…コウ[高桑闌更] (人名)江戸時代の俳人。 金沢の医師。 名は忠保。 寛政十年(1798)没、年七十二。 主著、蕉翁消息集・徘徊世説。 たかくらの[高座の] (枕詞)「高座」は「たかみくら」。 玉座の上に御葢(みかさ)がつるされるので「三笠」に冠する。 万葉、[3-373]「たかくらの三笠の山に鳴く鳥のやめば継がるる恋ひ泣きするかも」 たかさご[高砂] (地名)兵庫県高砂市。 加古川河口の三角洲上にあり、高砂神社の境内に有名な「高砂の松」がある。 古今集、序「高砂・住の江の松もあひおひのやうに覚え」 たかさごの[高砂の] (枕詞)「高砂」は「松」で有名なので「待つ」に、その他の「尾上」も名高いので「尾上」に冠する。 後撰集、十二、恋四「高砂のまつといひつつ年を経て」古今集、十七、雑上「高砂の尾上に立てる松ならなくに」 たかさごのをのへ…オノエ[高砂の尾上] (句)今の高砂市にある尾上という地。 一説、「高砂」は山の総称。 「尾上」は山の頂上。 古今集、四、秋上「秋萩の花咲にけりたかさごのをのへの鹿は今や鳴くらむ」後拾遺、一、春上「たかさごのをのへのさくら咲きにけり外山(とやま)の霞立たずもあらなむ 大江匡房」(下二句は「どうか、まわりの低い山の霞よ、立たないで欲しい」) たかしのはま[高師の浜] (地名) 1 和泉の国、大阪府泉北郡浜寺および高石の海浜。 2 三河の国、愛知県豊橋市の東南の海浜。 更級日記「ゐのはなといふ坂の、えもいはずわびしきをのぼりぬれば、三河の国の高師の浜といふ」(「十六夜日記」にもこの地を詠んだ和歌がある) たかしのやま[高師の山] (地名)三河の国、愛知県豊橋市の東南部、旧高師村にある丘陵。 その西が前項 2 の高師の浜。 十六夜日記「高師の山も越えつ。 海見ゆるほど、いとおもしろし」 たかしま[高島] 近江の国(滋賀県)の郡名。 琵琶湖の東岸。 万葉、[3-275]「いづくにか我は宿らむ高島の勝野の原にこの日暮れなば」宇治拾遺、一、利仁いもがゆの事「明日巳の時に……男ども高島の津に参り逢へといへ」 たがじやう…ジヨウ[多賀城] (地名)宮城県宮城郡の東部にある村。 この村の大字市川に有名な多賀城の址、多賀国府の址、多賀城の碑(つぼのいしぶみ)がある。 奥の細道「つぼのいしぶみ、市川村多賀城にあり」 たがじやうのひ…ジヨウ…[多賀城の碑] (名)前項の地にある古碑。 碑銘によれば、天平宝字六年(762)十二月一日に建てたとあるが、一説に、後世の偽作ともいう。 多賀城は奈良時代に蝦夷経営のために設けた城。 たかしやま[高師山] (地名)「たかしのやま」に同じ。 たかしる[高知る] (動、四) 1 「高」は美称的接頭語。 しろしめす。 領し給う。 治め給う。 万葉、[6-938]「やすみしし、わが大君の、神ながら、高知らせる、印南野(いなみの)の、大海の原の」 2 高く、堂々と造営する。 古事記、上「高天原に、ひぎたかしりて居れ、こやつ」 たかしるや[高知るや] (枕詞)高く聳える宮殿が天日をおおって「かげ」をつくる意から「天の御かげ」に冠する。 万葉、[1-52]「高知るや天の御かげ、天知るや日のみかげ」琴後集、六、雑「動きなき日嗣の位たかしるや天の御かげを世世に伝へて」 たかせ[高瀬] (名) 1 川の瀬の浅い所。 あさせ。 新古今、三、夏「鵜飼舟高瀬さし越すほどなれやむすぼほれゆくかがり火の影 寂蓮法師」枕草子、三「歌の題は……こも・たかせ・をし」 2 「高瀬舟」の略。 源氏、橋姫「橋姫の心をくみて高瀬さす棹のしづくに袖ぞぬれける」 たかせがは…ガワ[高瀬川] (地名)京都市にある運河。 天正年間、豊臣秀吉が東山に大仏殿を造営した時、その材料を運搬するために角倉了以に掘らせたもの。 たかせのよど[高瀬の淀] (地名)淀川の旧分流の一。 河内の国、大阪府中河内郡守口町および三郷村の附近を流れる川。 三郷村の大字高瀬は、その遺称であろう。 夫木抄、淀「こもまくら高瀬の淀にさすさをのさてや恋路にしをれはてなむ 家長」枕草子、六「こもつみたる舟のありきしこそ、いみじうをかしかりしか。 高瀬の淀には、これを詠みたるなめりと見えし」 たかせぶね[高瀬舟] (名)川舟の一。 高瀬すなわと浅瀬を自由に漕ぎゆく舟とも、また、舟の形から「高背」の義ともいう。 昔のは形が小さく、後世のは大きいが、底が平たく、どんな浅瀬も漕げるようにできていた。 新古今、五、冬「高瀬舟しぶくばかりにもみぢの葉の流れてくだる大堰川かな 藤原家経」 たかだかに[高高に] (副)熱心に望み待つさまにいう語。 万葉、[12-2997]「いそのかみふるの高橋たかだかに妹が待つらむ夜ぞふけにける」(上二句は序詞) たかだて[高館] (地名)「衣川の館」に同じ。 奥の細道「まづ高館にのぼれば、北上川、南部より流るる大河なり」 たかだま[竹玉・竹珠] (名)竹を菅玉のように輪切りにし、緒に貫ぬいて神に奉るもの。 一説、竹につけた玉。 万葉、[13-3284]「竹珠を間(ま)なく貫(ぬ)き垂り、あめつちの神をぞわが祈(の)む」 たかちほ[高千穂] (地名)「高千穂の峰」「高千穂のふたがみの峰」「高千穂のくじふるたけ」などともいう。 その位置については、宮城県西臼杵郡の高千穂とする説と、霧島山の東西二峰のこととする説とあって、不明。 たかつき[高坏] (名)食物を盛る、高い台のある坏。 もとは、土製で、坏と台とを別に作ったが、のち、作りつけとなり、木製の漆塗りのものとなる。 また、燈台のかわりにもした。 同、十一「高坏どもに火をともして」 たかつとりのわざはひ…ワザワイ[高つ鳥の災] (句)空高く飛ぶ鳥、猛禽や妖鳥などから受ける災害。 また、天若日子がきぎしなきめ(きじ)を射殺した矢を射かえされて死んだという伝説をいう。 (ともに、祝詞にある語) たかつのみや[高津の宮] (名)仁徳天皇の皇居の名。 今の大阪城の辺という。 なにはのたかつのみや。 おしてるみや。 たかつのやま[高角山] (地名)「たかつぬやま」は語訓。 石見の国、島根県那賀郡にある島星山の古名。 同県、美濃郡にある高角山とするは附会。 万葉、[2-132]「石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか 柿本人麻呂」 たかてこて[高手小手] (名)両腕を後ろにまわし、頸から肱にかけて、きびしくしばりあげること。 たかてらす[高照らす] (枕詞)空高く照りたまう日の意から「日」に冠する。 たかとうだい[高燈台] (名)腰の高い燈台。 たかどの[高殿] (名)高く造った殿。 また、高い壇。 たかとも[高鞆] (名)音の高く響く鞆。 古事記、上「ただむきには、いつのたかともを佩(お)ばして」(「原文の竹鞆」の「竹」は「高」の義) たかね[高嶺・高根] (名)「ね」は「峰」。 高い峰。 高い山。 たかの[鷹野] (名)たかを狩るために野に出ること。 たかがり。 たかののによてい[高野の女帝] (天皇名)第四十八代称徳天皇の別称。 孝謙天皇と御同一。 大鏡、七、太政大臣道長「女親王を、聖武天皇、女帝にすゑ奉り給ひてけり。 この女帝をば、高野の女帝と申しけり。 二度位に即かせ給ひたりける」 たかば[鷹場] (名)たかがりをする場所。 たかはしのむしまろ[高橋虫麻呂] (人名)万葉歌人。 よく叙事的詩材を求め、多くの伝説をうたっている。 養老のころ、常陸守藤原宇合の配下にあり、「常陸風土記」の編集にあずかり、天平のころには宇合と共に奈良にいたと推定されるが、伝未詳。 たかはら[たか原] (地名)古注に「大和」とあるが不明。 あるいは、河内の国、大阪府中河内郡竹原井田の地か。 勝景の地で、奈良時代に離宮のあった処。 枕草子、一「原は、たか原」 たかひタカイ[剣柄] (名)「たかみ」の転。 剣の柄。 たかひかる[高光る] (枕詞)空高く光る日の意から「日」に冠する。 古事記、中「たかひかるひのみこ、やすみししわがおほきみ、あらたまの、としがきふれば」=日の御子よ、わが大君よ、年が来経れば(月日がたてば)。 たかひしらす[高日知らす] (句)「高日」は「天日」。 「高天原」を意味する。 神として、高天原を領したまうことで、天皇の崩御されることをいう。 崩じたまう。 万葉、[2-202]「哭沢(なきさは)のもりに神酒(みわ)すゑ祷(こ)ひ祈(の)めどわがおほきみは高日知らしぬ」 たがひめタガイ…[違ひ目] (名)予定の違うこと。 ゆきちがい。 方丈記「心をなやませること三十余年なり。 その間、折折のたがひめにおのづから短き運を悟りぬ」 たかひも[高紐] (名)鎧の胴の綿上(わたがみ)にある緒。 胸板の相引緒につなぎかけ、胴を釣るのに用いる。 平家、十一、那須与一「かぶとをば脱いで高紐に懸け、判官の御前に畏まる」 たかまがはら[高天原] (名)「たかまのはら」「たかま」「あめ」「あまのはら」などともいう。 日の神のいられると信じた大空を想像して言った語であろう。 たかまとやま[高円山] (地名)「たかまどやま」ともいう。 大和の国、奈良県添上郡東市村にあり、春日山の東南につづく山。 万葉、[6-981]「猟高(かりたか)の高円山を高みかも出で来る月のおそく照るらむ 大伴坂上郎女」 たかまのやま[高間の山] (地名)山城の国、京都府綴喜郡井田村の辺にある山であろう。 新古今、序「高間の山の雲ゐのよそなる人を恋ひ」 たかみ (名)「手上」または「つかみ」の転という。 剣の柄。 たかひ。 古事記、上「次に、みはかしのたかみに集まる血、手俣(たなまた)より漏(く)き出でて成りませる神のみ名は」 たかみくら[高御座] (名) 1 天皇のおつきになる御座の称。 御即位・朝賀・外客拝朝などの儀に用いられる、凰輦のように飾った御座。 2 転じて、天皇の御位。 たかみくらゐ。 たかみくら[高御座] (枕詞)前項の意から「あまつひつぎ」に冠する。 万葉、[18-4089]「たかみくら天つ日嗣と、すめろぎの神のみことの、きこしをす、国のまほらに」 たがみそぎ[たが禊] (枕詞)「誰が禊」か「高禊」の転か不明。 禊には木綿(ゆふ)を用いるので「ゆふつけどり」に、その音の縁から「ゆふ波」「白ゆふ波」などに冠する。 古今集、十八、雑下「たがみそぎゆふつけどりかからころもたつ田の山にをりはへて鳴く」新葉集、三「たがみそぎ夕波かけて川の瀬の」新続古今、三「たがみそぎ白ゆふ波のたつ田川」 たかみや[高宮] (地名)大和の国、奈良県南葛城郡吐田郷村大字森脇の地であろうという。 古事記、下「わがみがほしくには、かつらぎ、たかみや、わぎへのあたり」=わが(早く)見たいと欲する郷土(くに)は、葛城の高宮にある我が家のあたり。 たかむこのくろまさ[高向玄理] (人名)音読して「げんり」ともいう。 上代の学者。 初名は黒麻呂。 竹内宿禰の後裔という。 推古天皇の十六年 608 隋に留学し、帰朝後、大化の改新に八省百官の制を進言。 白雉五年(654)遣唐使として渡唐。 その年、唐において没す。 生年未詳。 たかむな[筍・笋] (名)たけのこ。 「竹芽菜」の義とする説は国語の音韻変化の上から信じられない。 その形が蜷(みな)に似ているところから「たけみな」といい、音便で「たかむな」「たかうな」「たかんな」となったものと信ぜられる。 古事記、上「ゆつつま櫛を引きかきて、投げ棄(う)てたまへば、すなはちたかむな生(な)りき」 たかむなさか[高胸坂] (名)坂のように高くなっている胸。 あおむいて寝ている時の胸。 古事記、上「天若日子が、胡床(あぐら)に寝たる高胸坂にあたりて、みうせにき」 たかやかに[高やかに] (形動、ナリ、連用形)たからかに。 大鏡、二、左大臣時平「この史(さくわん)、ふばさみに文挾みて、いらなくふるまひて、このおとどに奉るとて、いと高やかにならして侍りけるに」(放屁したのである) たかやす[高安] (地名)昔、河内の国の郡名。 今、大阪府中河内郡高安村にその名をのこす。 伊勢物語「河内の国、高安の郡にいきかよふ所いで来にけり」 たかやすのやま[高安の山] (地名)前項の郡と大和の生駒郡との境にある山。 生駒山脈の一峰。 古事記、下「その樹の影あさ日に当たれば淡路島におよび、夕日に当たれば高安の山を越えき」(大樹伝説の一) たかやりど[高遣戸] (名)せいの高いやりど。 「やりど」は横にひきあける戸。 徒然草、二十三段「小蔀・小板敷・高遣戸」 たかゆく[高行く] (動、四)空高く飛ぶ。 古事記、中「高ゆくたづが音(ね)」 たかゆくや[高行くや] (枕詞)空高く飛ぶ鳥「はやぶさ」から「はやぶさわけのみこと」に冠する。 古事記、下「たかゆくや、はやぶさわけの、みおすひがね 女鳥王」=(これは)はやぶさわけのみことの御外套の料でございます。 たからのきみ[宝の君] (句)大切と思い奉る主君。 たからのこ[宝の子] (句)大切に育てる子。 また、富貴の家の子。 たかる (動、四)集まりつく。 よりあつまる。 たかる (動、下二)意は前項に同じ。 古事記、上「ひとつ火をともして入り見ます時に、うじたかれとろろぎて、み頭には大いかづち居り、み胸には火のいかづち居り」 たがる (助動)四段に活用する。 動詞の下に付けて、希望する意をあらわす語。 見たがる。 行きたがる。 たかゐきとうタカイ…[高井几董] (人名)江戸時代の俳人。 京都の人。 蕪村の高弟。 その句風は、雅馴・洒落・豪爽。 寛政元年(1789)没、年四十八。 主著、蕪村七部集・其雪影。 たかんな[筍・笋] (名)たけのこ。 「たかむな」の音便。 古今著聞集、十八、飲食「昔、雪中のたかんな、しはすの山桃も、願ふにしたがひて求め出しけり。 たかんなをこみ (句)「こみ」は「籠み」の意か。 筍の簇生したように群集しているさまをいう。 平家、三、公卿揃「余りに人多く参りつどひ、たかんなをこみ、稲麻竹葦のごとし」 たぎ[滝] (名)「たき」のこと。 万葉、[6-1034]「いにしへゆ人の言ひくる老い人の変若(をつ)とふ水ぞ名に負ふたぎの瀬」 たきあかし (名)「たいまつ」の類。 たてあかし。 たきがは…ガワ[滝川] (名)たぎり流れる川。 詞花集、七、恋上「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれてもすゑに逢はむとぞ思ふ 崇徳上皇」=瀬の流れが速いので、岩に堰かれて砕ける激流の水も、再び一つに合して流れるように、たとえ別れても、末には再び恋人と逢いたいと願っている。 たきぎきり[薪伐り] (枕詞)薪を伐る音から「ほとほとし」に冠する。 万葉、[7-1403]「御幣帛(みぬさ)取り神のはふりがいはふ杉原、たきぎきりほとほとしくに手斧取らえぬ」 たきぎこる[薪樵る] (動、四) 1 薪を伐採する。 2 法華八講の三日めに、行基菩薩の作という「法華経を我が得しことは薪こり菜つみ水汲み仕へてぞ得し」を歌いながら行道すること。 源氏、御法「薪こる讃嘆の声も、そこら集ひたるひびき」 たきぎこる[薪樵る] (枕詞)薪樵る鎌の意から「鎌倉山」に冠する。 万葉、[14-3433]「薪樵る鎌倉山の木垂る木のまつと汝(な)が言はば恋ひつつやあらむ」」 たきぐち[滝口] (名) 1 滝の落ち口。 2 清涼殿の東北方、御講水の落ちる滝口に勤番する武士の称。 禁中の警固および雑役に仕える。 六位の侍。 たきざはばきん…ザワ…[滝沢馬琴] (人名)江戸時代の小説家。 別号、曲亭馬琴。 江戸の人。 山東京伝の門に入り、はじめは黄表紙などを書いたが、やがて読本に転じて一世を風靡した。 晩年失明したが、あくまで創作をつづけた。 嘉永元年(1848)没、年八十一。 主著、南総里見八犬伝・椿説弓張月・近世説美少年録、その他三百数十種に及ぶ。 たぎし (名)未詳。 船の尾の舵機とも、砥石ともいう。 いずれも信じがたい。 古事記、中「今あが足、え歩まず、たぎしの形に成れりとぞのたまひける」(日本武尊の御ことば) たぎしのをばま…オ…[多芸志の小浜] (地名)島根県、出雲大社のある杵築の地。 古事記、上「出雲の国の多芸志の小浜に、あめの御舎(みあらか)を造りて」 たぎつ (動、四) 1 (山川の水などが)逆巻く。 たぎる。 祝詞六月晦大祓「高山の末、短山の末より、さくな垂りに落ちたぎつ速川の瀬にます瀬織津姫といふ神、大海原に持ち出でなむ」 2 心が烈しくいらだつ。 たきつせの (枕詞)「滝の瀬の」の意。 流れが速いから「はやし」に冠する。 古今集、十三、恋三「たきつせのはやき心をなにしかも人めつつみのせきとどむらむ」 だきに[茶枳尼・? 幾爾] (神名)梵語Dakiniの音写。 「だきにてん」ともいう。 古代印度の鬼神。 夜叉の一類で、自在な通力を有し、茶枳尼の法を修する者をして通力を得しめるという。 密宗の外法として行われる。 平家、一、鹿谷「あるひじりをこめて、だきにの法を百日行はせられけるに」 たきのおと[滝の音] (句)滝の水の落ちたぎる音。 拾遺集、八、雑上「滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞えけれ 藤原公任」=「大覚寺に人人あまたまかりけるに、古き滝をよみ侍りける」とまえがきがある。 この滝は嵯峨天皇の御代には面白い滝であったというが、もう久しくその音も絶えている。 しかし、天皇の御名は今になお言い伝えられている。 (「大覚寺」は、嵯峨天皇の居られた所) たぎふさ (名)「もとどり」の古称。 のち、転じて「たぶさ」という。 たぎまぢ…ジ[当麻道] (地名)河内から大和へ出る道で、今の奈良県北葛城郡当麻村の竹内峠が、ほぼこれに当たる。 古事記、下「おほさかに、あふやをとめを、みちとへば、ただにはのらず、たぎまぢをのる」=大坂峠で逢った少女に道を問うたら、直ぐに行ける近道を教えずに、わざわざ遠回りの当麻道を教えてくれた。 たぎまのくゑはや…クエ…[当麻蹶速] (人名)「たいまのけはや」ともいう。 相撲の祖という。 「垂仁紀、七年七月」の条に、野見宿禰と相撲をとって負けたという記事がある。 たきもの[薫物] (名) 1 焚いて、芳香を発せしめるもの。 ねり香。 落窪物語「たきものは、この御裳着に賜はせたりしを、ゆめばかり包み置きて侍り」 2 香をたくこと。 たきものあはせ…アワセ[薫物合せ] (名)「かうあはせ」ともいう。 各人が、ねり香を持ち出し、これを焚いて、判者がその優劣を決し判定する一種の遊技。 たぎる (動、四) 1 「たぎつ」に同じ。 2 心がいらだつ。 古今六帖、三「うち絶えて落つる涙になるたきのたぎりて人を見ぬがわびしさ」 3 煮え立つ。 沸騰する。 4 卓越する。 たく[栲] (名)栲(たへ)に同じ。 昔、布類の総称。 多く、こうぞの皮の繊維で織った白い布の称。 「栲縄」「栲ぶすま」 たく[綰く] (動、四) 1 たばねて、かきあげる。 取り上げる。 万葉、[2-123]「たけばぬれたかねば長き妹が髪この頃見ぬに掻き入れつらむか」 2 舟を漕ぐ。 力漕する。 土佐日記「ゆくりなく風吹きて、たけどもたけども、しりへにしぞきにしぞきて」 たく[長く] (動、下二) 1 高くなる。 長ずる。 盛んになる。 熟する。 徒然草、百五十段「つひに上手の位に至り、徳たけ、人に許されて、並びなき名を得ることなり」 2 さかりを過ぎる。 末に近づく。 風雅集、秋下「もずのゐるまさきの末は秋たけてわらやはげしき峰の松風 藤原定家」 たぐ (動、下二)未詳。 「食べる」意か。 万葉、[14-3451]「さなづらの岡に粟まきかなしきが駒はたぐともわはそともはじ」(「そともはじ」は「そ」と声をかけても追わない意か) たぐさ[手草] (名)舞う時に、手に持つもの。 てすさび。 古事記、上「あめのかぐ山のささ葉をたぐさに結ひて」 たくしよ[謫処] (名)流された場所。 たくじり[手抉り] (名)上古の土器。 土をまるめ、中を指先で抉り、くぼみをつけた粗末なもの。 神武紀、前紀、戌午年九月「埴(はにつち)を以て、やそびらか、あめのたくじりの八十枚(やそて)、厳瓮(いつべ)をつくりたまひて」 たくせん[託宣] (名)神霊が人にのりうつって、その意をのたまうこと。 かみがかり。 」 たくづぬの…ズヌ…[栲綱の] (枕詞)「つぬ」は「つな」の古語。 栲綱は白いので「しろ」「しら」に冠する。 古事記、上「たくづぬのしろき、ただむき」万葉、[3-460]「たくづぬの新羅の国ゆ、人言(ひとごと)を、よしと聞かして、問ひ放(さ)くる」 だくな (接尾)無駄・濫費などの意を添える語。 たくなは…ナワ[栲縄] (名)楮の皮の繊維で作った白色の縄。 たくなはの…ナワ…[栲縄の] (枕詞)栲縄は長いので「長き」「千尋」に冠する。 万葉、[4-704]「栲縄の永き命を欲しけくは」同、[5-902]「栲縄の千尋にもがと願ひ暮らしつ」 たくひれの[栲領巾の] (枕詞)その色から「白」に、かけることから「かけ」に冠する。 万葉、[11-2822]「栲領巾の白浜浪の」同、[3-285]「栲領巾のかけまく欲しき妹が名を」 たぐふタグウ[比ふ・類ふ] (動、四)つれだつ。 ならぶ。 くっつく。 仁徳紀、二十二年正月「あさづまの、ひかのをさかを、かたなきに、みちゆくものも、たぐひてぞよき」=朝妻のひかの小坂を泣きながら道行く人も、連れがあった方がよい。 たぐふタグウ[比ふ・類ふ] (動、下二)託す。 連れ添わせる。 寄せる。 くっつける。 方丈記「しばしば松の響きに秋風楽をたぐへ」(託す)。 新古今、五、秋下「たぐへ来る松の嵐やたゆむらむ尾上にかへるさを鹿の声」(寄せ来る)。 たくぶすま[栲衾] (名)栲布で作った夜具。 古事記、上「たくぶすま、さやぐがしたに」=栲衾のさわさわとした下に。 たくぶすま[栲衾] (枕詞)栲衾は白いので「しら」に冠する。 出雲風土記、意宇郡「たくぶすましらぎのみさきを国のあまりありやと見れば、国のあまりありとのりたまひて」 たくぶら (名)「たこむら」に同じ。 ひじの裏の、ややふくれた所。 雄略紀、四年八月「さゐまつと、わがたたせば、たくぶらに、あむかきつきつ」=猪を待ち伏せて、自分が立っていると、たくぶらに虻が来てくいついた。 (「たたせ」は敬語。 貴人は自身に対しても敬語を用いる) たくみ[工・巧] (名) 1 工夫。 いとなみ。 くわだて。 2 たくらみ。 3 しごと。 4 工匠。 竹取「竹取の翁、このたくみらが申すことは何事ぞとかたぶきをり」古事記、下「おほたくみ、をぢなみこそ、すみかたぶけれ」=大工匠が無能なればこそ、隅が傾いているのでございますよ。 たくみづかさ…ズカサ[内匠寮] (名)「たくみれう」に同じ。 源氏、桐壺「里の殿は、修理職・たくみづかさに宣旨くだりて、二なうあらためつくらせ給ふ」 たくみどり (名)「みそさざい」の異称。 巣を作ることが巧みであることからいう。 枕草子、三「鳥は……たくみどり」 たくみなり[巧みなり] (形動、ナリ)上手である。 手ぎわがよい。 器用である。 たくみのかみ[内匠] (名)「たくみれう」の長官。 たくみれう…リヨウ[内匠寮] (名)中務省に属し、工匠・技巧のことをつかさどる。 うちのたくみのつかさ。 たくみのつかさ。 たくみづかさ。 たくらぶ (動、下二)「た」は接頭語。 「くらぶ」に同じ。 比べる。 たぐり (名)口から吐くこと。 また、吐いた物。 古事記、上「たぐりに生(な)りませる神のみ名は金山びこの神」 たぐる (動、四)口から吐く。 吐き出す。 へどをつく。 神代紀、上「たぐれる物」 たけううるひ[竹植うる日] (句)陰暦五月十三日をいう。 中国の「竹酔日」から来たもので、この日に竹を植えればよいことがあるという。 おらが春「こぞの夏、竹植うる日のころ、うき節しげきうき世に生まれたる娘」 たけうちのすくね[武内宿禰・建内宿禰] (人名)「たけのうちのすくね」ともいう。 神功皇后を助けて熊襲を討ち、三韓を征し、応神天皇を翼載して功があった。 景行・成務・仲哀・応神・仁徳の五朝に仕え、すこぶる長命であったので、仁徳天皇が「なこそは、よのながひと」と言われ、「やまとのくにに、かりこむときくや」とおたずねになった。 生没年未詳。 たけくまのまつ[武隈の松] (句)歌枕の一。 宮城県名取郡岩沼の武隈明神の辺にあった松。 後拾遺、十八、雑四「武隈の松はふた木を都人いかがと問はばみきとこたへむ 橘季通」 たけしば[竹芝] (地名)今の東京都港区一帯の地か。 更級日記「これは、いにしへ、竹芝といふさかなり」(「さか」は「さう」すなわち「荘」の誤写か) たけしばでら[竹芝寺] (寺名)今の東京都港区三田台町の済海寺がそのあとという。 更級日記「宮など失せ給ひにければ寺になしたるを、竹芝寺といふなり」 たけち[高市] (名)未詳。 「都会」の義ともいい、「竹市」すなわち竹の生えている土地で市の立つ場所の名ともいう。 「椿市」などから考えて、この説の方がよいとは思うが、にわかに従いがたい。 また、地名か。 事項参照。 古事記、下「やまとの、このたけちに、こだかる、いちのつかさ」=大和のこのたけちにあって、市のある小高い所。 たけち[高市] (地名)大和の国、高市(たかいち)郡の古称。 たけとりものがたり[竹取物語] (書名)わが国における創作的物語の最初の作品であり、仮名書きの最古のもの。 作者も年代も不明であるが、おそらく十世紀のはじめ頃の作であろう。 竹取の翁が竹の中から得て養い育てた赫映姫が、多くの貴公子たちの求婚を退け、さらに時のみかどの切なる勅諚さえあったにかかわらず、地上のすべてを振り切って、八月十五日の夜、天の羽衣を着て、故郷なる月の世界へ昇って行く物語。 文体は素朴であり稚拙であるが、平明である。 白鳥処女説話に系統を引く物語。 たけなはなりタケナワナリ[酣なり・闌なり] (形動、ナリ) 1 酒盛の最中である。 2 転じて、物事の最中である。 3 さらに転じて、さかりがやや過ぎる。 やや衰える。 たけのした[竹の下] (地名)静岡県駿東郡足柄村大字竹の下。 足柄峠の西麓。 昔の東海道の通り筋で、「竹の下越え」と「足柄越え」とは同義語であった。 太平記、二、俊基朝臣再関東下向事「おり立つ田子のみづからも、浮世をめぐる車返し、竹の下道行きなやむ。 足柄山のたうげより、大磯・小磯見おろして」 たけのその[竹の園] (名) 1 竹の生えている園。 2 「皇族」の異称。 中国、漢の文帝の子、梁の孝王が方三百余里の竹園を築き、世に梁の孝王の「竹園」と称した故事に基づく。 たけのそのふ…ソノウ[竹の園生] (名) 1 竹の生えている園。 2 「皇族」の異称。 前項参照。 徒然草、一段「竹の園生の末葉まで、人間の種ならぬぞやむごとなき」(「皇族の子孫まで」の意) たけぶ (動、四)猛烈に叫ぶ。 猛烈にふるまう。 「いづもたける」「八十たける」「くまそたける」など。 たける (動、四)「たけぶ」に同じ。 たご[田子] (名)田を作る人。 苗を植える女。 たご (名)桶。 荷ない桶。 主として、水を入れて荷なう桶。 たごし[手越し] (名)手から手に伝えて運ぶこと。 たごし[手輿] (名)人の手でかく輿の義。 担架のような輿。 竹取「国に仰せたまひて、手輿つくらせ給ひて」 たごのうら[田子の浦] (地名)歌枕の一。 静岡県富士郡の海浜のうち、富士川の河口以東鈴川附近の砂丘に至る一帯の称。 風光明媚の地。 この地から富士の展望は東海道第一と称せられる。 万葉、[3-318]「たごの浦ゆうち出でて見れば真白にぞふじの高嶺に雪はふりける 山部赤人」(「ゆ」は「より」の意であるが、必ずしも「田子の浦から舟出して」などと解釈しなくてもよい。 「田子の浦から富士を眺めると」の意である) たごのよびさか (地名)「万葉集」にある駿河の国の地名。 静岡県庵原郡蒲原の東北にある七難坂をいったものであろう。 たこむら (名)「手こむら」の義。 足の「こむら」に対して「手のこむら」をいう。 ひじの裏のややふくれたところ。 たくぶら。 だざいしゆんだい[太宰春台] (人名)江戸時代の儒者。 名は純。 信濃の人。 萩生徂徠の門に入り、経学に通じた。 延享四年(1747)没、年六十七。 主著、論語古訓・独語。 親王が帥に任ずれば権帥が専ら府務を執る。 だざいふ[太宰府] (名)今の福岡県筑紫郡太宰府に置かれた官府。 九州地方を総督し、外寇を防ぎ、外交のことをつかさどる。 長官を帥とし、権帥・大少弐・大少監・大少典があり、別に主神(かむつかさ)があって、管内諸社の祭祀をつかさどる。 たしだしに (副)今日は音が転じて「どしどしと」となる。 さかんに。 古事記、下「ささばに、うつやあられの、たしだしに」=笹の葉を、あられが、さかんに、どしどしと打っている。 たしなし (形、ク)「たりない」義。 とぼしい。 すくない。 窮している。 たしに (副)「足しに」で、「満足に」の義。 古事記、下「たしにはゐねず、のちもくみねむ、そのおもひづま、あはれ」=満足には枕をかわさず、後日、籠り寝ようよ、その思い妻よ、ああ。 たしみだけ[たしみ竹] (名)繁く生い立っている竹。 たしやう…シヨウ[多生] (名)仏教で、幾度も生死を重ねて生まれ出ること。 六道を輪回して、多くの生を経ること。 だじやうくわん…ジヨウカン[太政官] (名)一国万機のまつりごとを統べる官。 左右弁官・八省・諸国を統べる。 だいじやうくわん。 おほいまつりごとのつかさ。 だじやうだいじん…ジヨウ…[太政大臣] (名)太政官至極の官。 左右大臣の上位。 職掌はない。 一人(いちじん)に師範として、四海に儀刑となるような有徳の人を待って任ずるので、その人無ければ則ち闕く。 故に「則闕の官」という。 だいじやうだいじん。 おほきおほいまうちぎみ。 おほきおとど。 だじやうてんわう…ジヨウ…ノウ[太上天皇] (名)上皇。 たしやうのえん…シヨウ…[多生の縁] (句)多くの生を経る間に結ばれる深い因縁。 たそ[誰そ] (句)「だれか」と問う語。 「たぞ」ともいう。 たそがれ (名)「たそがれどき」ともいう。 くれがた。 ただあり (名)飾り立てないこと。 ありのまま。 なみなみ。 たたうがみタトウ…[畳紙] (名)「たたみがみ」の音便。 ふところがみ。 はながみ。 枕草子、八「たたうがみに書きておこせたるを見れば」 ただうどタドウド[徒人] (名)「ただびと」の音便。 普通の人。 一般の人。 徒然草、一段「ただうども、舎人(とねり)など賜はるきはは、ゆゆしと見ゆ」=一の人以外の人でも、随身などを賜わるほどの身分の人は、りっぱに見える。 たたきまながる (句)「たたき」は「手うたき」の約転で「抱き」に同じ。 「まながる」の「まな」は「また」の転。 「股」を活用させたもので、「またがる」に同じ。 抱き合って下肢を交叉する。 たたく (動、四) 1 戸をたたくような声で鳴く。 くいなの鳴くのにいう。 徒然草、十九段「早苗とるころ、水鶏(くひな)のたたくなど、心ぼそからぬかは」 2 その他多くの意味があるが現代語とほとんど同一の内容である。 ただこえ[直越え] (名)まっすぐに、曲がらずに越えること。 古事記、下「はじめ大后、日下(くさか)にましましける時、日下の直越えの道より河内にいでましき」万葉、[6-977]「直越えのこの道にしておしてるや難波の海と名づけけらしも」次項参照。 あるいは、地名か。 ただこえのせき[ただこえの関] (地名)前項参照。 前項の語は固有名詞とも思われないが、あるいは大和から河内に越える要害の地で、そこに関所があったのかも知れない。 そうとすれば、今「くらがり峠」と称する地がそれに当たるであろう。 枕草子、六「関は……衣の関、ただこえの関」 ただごと[徒言] (名)普通のことば。 何のおもむきもないことば。 枕草子、十「ただ言には、うるさく思ひより侍りつかし」 ただごと[徒事] (名)普通の事。 世の常の事。 竹取「このごろとなりては、ただごとにも侍らざめり」 ただごとうた[ただごと歌] (名)ことばを飾らずに、ありのままに詠じた歌。 古今集、序「五つには、ただごと歌。 いつはりのなき世なりせばいかばかり人の言の葉うれしからまし、といへるなるべし」 たたす[立たす] (句)「立つ」の未然形に敬語の助動詞「す」の付いたもの。 お立ちになる。 古事記、上「かれ、二柱の神、天の浮橋に立たして」 ただすつかさ (名)「だんじやうだい」に同じ。 ただすのかみ[糺の神] (神名)「下賀茂明神」の別称。 下賀茂の社は、糺の森にあるのでいう。 枕草子、十「いかにしていかに知らましいつはりを空にただすの神なかりせば」 ただすのもり[糺の森] (地名)京都市左京区下鴨の社の南にある森。 十六夜日記「ことわりをただすの森のゆふしでに」 ただぢ…ジ[直路] (名) 1 まっすぐな道。 また、近道。 万葉、[11-2618]「月夜(つくよ)よみ妹に逢はむと直道からわれは来つれど夜ぞふけにける」 2 転じて、経路。 いきさつ。 たたなづくタタナズク[畳なづく] (動、四)「たたなはりつく」義。 幾重にもうねり重なる。 古事記、中「やまとは、くにのまほろば、たたなづくあをがきやま、こもれる、やまとし、うるはし 日本武尊」 たたなづく…ズク[畳なづく] (枕詞)前項参照。 人の肥えて柔らかな膚は山のうねうねしたさまに似ているので「やははだ」に冠する。 万葉、[2-194]「たたなづくやははだすらを」 たたなはるタタナワル[畳なはる] (動、四)畳まり重なる。 うねり重なる。 万葉、[1-38]「国見をすれば、たたなはる青垣山」枕草子、二「髪のうちたたなはりて、ゆららかなるほど」 たたなめて[楯並めて] (枕詞)「たた」は「楯」の転。 楯を並べて射ることから「い」の頭音を持つ語に冠する。 古事記、中「たたなめていなさのやまの、このまよも」万葉、[17-3908]「たたなめて泉の川の水脈(みを)絶えず」 ただに[直に] (副)まっすぐに。 直面して。 古事記、中「をはりに、ただにむかへる、をつのさきなる、ひとつまつ、あせを 日本武尊」 たたはしタタワシ (形、シク)「満ち足る」意を有する「湛ふ(たたふ)」を形容詞化した語。 1 満ち足りる。 富んでいる。 土佐日記「この人、国に必ずしもゐてつかふる者にもあらず。 これぞたたはしきやうにて、うまのはなむけしたり」 2 転じて、たくましい。 堂堂としている。 綏靖紀、即位前「をとこさかりに及びて、みかたちすぐれてたたはし」 ただびと[徒人] (名)普通の人。 一般の人民。 また、平凡な人。 天皇・皇族に対して臣下。 貴人に対して家柄の低い廷臣。 僧侶に対して俗人。 才能のある人に対して凡人。 たたふタタウ[湛ふ] (動、四)(水などが)いっぱいになる。 夫木抄、雑六「きよみ川いづるみなとにしほ満てばせかれて湛ふ浦の入りうみ」 たたふタタウ[湛ふ] (動、下二)前項の他動。 満たす。 いっぱいにする。 山家集、下「田代見ゆる池の堤の嵩(かさ)そへて湛ふる水や春の夜のため」 たたふタタウ[称ふ] (動、下二)十分にほめる。 称揚する。 たたへごとタタエ…[称辞] (名)ほめことば。 祝詞、祈年祭「たたへごと竟(を)へ奉らくと宣る」 たたみけめ[畳薦] (枕詞)「たたみこも」の東国方言。 畳を数えるのに「一むら・二むら」のように言うので「むら」の音に冠する。 万葉、[20-4338]「たたみけめむらじが磯の離磯(はなりそ)の母を離れて行くが悲しさ 防人の歌」 たたみこも[畳薦] (枕詞)菰(こも)で編んだ畳。 畳を数えるのに「一重・二重」のように言うので「へ」の頭音を持つ語に、また、畳は編むので「編む」に冠する。 古事記、中「たたみこもへぐりのやま」万葉、[12-2995]「逢ふよしの出で来むまではたたみこも重ね編む数夢(いめ)にし見てむ」 たたみゆめ[畳忌め] (句)上古、旅行中に、留守宅で畳を粗末にすると旅行中の人に禍があるという迷信があったので「畳をつつしみ忌め」といふ意。 「ゆめ」は「いめ」の転。 古事記、下「わがたたみゆめ」(万葉、[15-3688]「すめろぎの、遠のみかどと韓国(からくに)に、渡る我が背は、家人(いへびと)の斎(いは)ひ待たねか、畳かもあやまちしけむ」参照) ただむき (名)肱から手くびまでの間の称。 ただよしとし[多田義俊] (人名)江戸時代の史家・有職家・歌人。 摂津の人。 京都へ出て壺井寉翁について古典を修め、博覧強記をもって知られた。 寛延三年(1750)没、年五十二。 主著、神史考・延喜式祝詞私説・職原聞書。 たち[館] (名) 1 官吏などの寓する家。 やかた。 2 小さな城。 たちかあれなむ…ナン[立ちか荒れなむ] (句)「か」は間投詞的に用いたもので、疑問の意ではない。 立ち荒れるであろう。 立ち枯れるであろう。 古事記、下「やたの、ひともとすげは、こもたず、たちかあれなむ、あたらすがはら」 たぢから…ジカラ[手力] (名)腕の力。 万葉、[7-1281]「君がため手力つかれ織りたる衣(きぬ)ぞ春さらばいかなる色に摺りてばよけむ」(施頭歌) たぢから…ジカラ[税] (名)「田力」の義。 ちから。 たちぎきのもり[立聞の森] (地名)未詳。 枕草子、六「森は……岩瀬の森、たちぎきの森、常磐の森」 たちごもの[立ち鴨の] (枕詞)「たちごも」は「立ち鴨」の東国方言。 鴨の飛び立つことから「たちのさわぎ」に冠する。 万葉、[20-4354]「たちごもの発(た)ちの騒ぎに相見てし妹が心は忘れせぬかも 防人の歌」(出発の時の騒ぎ) たちそば (名)立っている杣。 「そば」は「そま」の転。 果実は、ならない。 たちど (名)立つところ。 たちば。 方丈記「なぎさ漕ぐ船は波にただよひ、道ゆく馬は足のたちどをまどはす」 たちのしり[太刀のしり] (枕詞)太刀のしりは鞘に入れるから「入る」に、また、太刀の後鞘は玉で飾るので「玉まく」に冠する。 例を略す。 たちはき[帯刀] (名)「太刀佩き」の義。 東宮坊の侍衛の士「帯刀の舎人」のこと。 三十人。 音便で、たてあき。 たてはき。 たちばななんけい[橘南谿] (人名)江戸時代の医師・紀行文家。 本名は宮川春暉。 伊勢の人。 風土病を研究しつつ全国を旅行し、多くの紀行文を書いた。 文化二年(1805)没、年五十二。 主著、東遊記・西遊記。 たちばなの (枕詞)橘の実から「みえり」に、また、頭音を重ねて「たち」に冠する。 万葉、[20-4341]「橘の美衣利の里に」新拾遺、三、夏「たちばなの立ち馴れし世ぞ」 たちばなのなりすゑ…スエ[橘成季] (人名)「古今著聞集」の著者。 伝未詳。 たちばなのはやなり[橘逸勢] (人名)平安時代の書家。 三筆の一人。 延暦の末、遣唐使に従って入唐。 帰朝の後、事によって疑いを受け、伊豆に流される途中、承和九年(842)病没。 生年未詳。 たちばなのもろえ[橘諸兄] (人名)万葉歌人。 美努王の子。 初め葛城王、のち臣姓を賜い橘諸兄という。 左大臣正一位に進む。 世に井手左大臣または西院大臣と呼ばれた。 「万葉集」編者の一人に擬せられているが確かでない。 天平宝字元年(757)没、年七十三。 たちばなほくし[立花北枝] (人名)江戸時代の俳人。 通称は源四郎。 加賀の人。 蕉門十哲の一人。 北陸の俳祖。 享保三年(1718)没、年五十三。 主著、山中問答・卯辰集。 たちばなもりべ[橘守部] (人名)江戸時代の国学者。 伊勢の人。 国学に精通し、和歌をよくした。 世に信友・篤胤・景樹と共に天保の四大家と称せられた。 嘉永二年(1849)没、年六十八。 主著、難語考・綾威道別。 たちばなを…オ (枕詞)昔、橘の盗難を防ぐために守部を置いたことから「守部の里」に冠する。 万葉、[10-2251]「たちばなを守部の里の門田わせ苅る時過ぎぬ来じとすらしも」 たちび[立氷] (名)氷柱。 古事記、上「その御手を取らしむれば、即ち立氷に取り成し」(氷柱のように固く鋭くする) たぢひのタジヒ…[丹比野・多遅比野] (地名)大阪府南河内郡埴生村附近(旧丹比郡)の古称。 古事記、下「たぢひのに、ねむとしりせば」=丹比野で相共に寝ようと知ったなら。 たちまうづタチモウズ[立ち詣づ] (動、下二)「立ち」は「すぐに」を意味する接頭語。 すぐに参る。 竹取「潮にぬれたる衣(きぬ)をだに、脱ぎかへなでなむ、たちまうで来つる」 たちまふタチマウ[立ち舞ふ] (動、四) 1 立って舞う。 2 いりまじる。 たちまじる。 源氏、榊「見知り給はぬ世のうさに、立ちまふべくもおぼされず」 たぢまもりタジマ…[田道間守] (人名)垂仁天皇の勅を奉じて常世の国に非時の香菓(橘の実)を求めに行き、得て帰ったが、天皇がすでに崩御されたので悲しみに耐えず自殺した人。 (垂仁紀、百年) たちもとほるタチモトオル (動、四)ぶらつく。 もとほる。 たちやま[立山] (地名)富山県の「たてやま」の古称。 たちわかる[立ち別る] (動、下二)「たち」は接頭語。 別れる。 別れ去る。 竹取「使はるる人も、年ごろならひて、たち別れなむことを……同じ心になげかしかりけり」古今集、八、雑別「立ち別れいなばの山のみねに生ふるまつとし聞かば今帰り来む 在原行平」=そなたと別れて自分の行く因幡の国の山の峰に生えている松のように、そなたが私を待つと聞いたなら、すぐに都へ帰って来よう。 たつ[辰] (名)「龍」の義。 十二支の第五位。 卯と巳との間。 方角では東より少し南寄り。 時刻では午前八時から十時まで。 たつ[龍] (名)想像上の動物。 りよう。 りゆう。 竹取「大伴の大納言には、たつのくびに五色に光る玉あり、それを取りてたまへ」 たづ…ズ (名) 1 田鶴。 2 鵠(くぐひ)。 古事記、中「高行く鵠(たづ)が音(ね)を聞かして」 3 おおとり。 たつがしら[龍頭] (名)龍の頭の形をした飾り。 たづきタズキ (名)方便。 たより。 よるべ。 よすが。 たどき。 源氏、帚木「世にふるたづきすくなく、ときよにうつろひて、おぼえ衰へぬれば」 たつきりの[立つ霧の] (枕詞)立つ霧の消えるように「思ひ消え過ぐ」にたとえ、また、その明瞭に見えることから「いちじろし」に冠する。 例を略す。 たつごも[立薦] (名)上古、旅行先の野などで、防壁として立てまわすための携帯用の薦。 たつたがは…ガワ[龍田川] (地名)歌枕の一。 大和の国、奈良県生駒郡にある川。 上流を生駒川といい、龍田町に至って大和川に入る。 歌に詠まれるのは、龍田神社のある地の生駒郡三郷村大字立野の辺を流れる大和川の称。 後拾遺、五、秋下「あらし吹くみむろの山のもみぢ葉はたつた川の錦なりけり 能因法師」=嵐のはげしく吹き散らす三室山のもみぢ葉が、龍田川に浮いて流れているが、それはあたかも龍田川そのものが錦であるとさえ思われるばかりである。 たづたづしタズタズシ (形、シク)たどたどしい。 おぼつかない。 たつたひめ[龍田姫] (名)秋をつかさどる女神。 龍田神社の祭神。 春をつかさどる女神「佐保姫」の対。 たつたやま[龍田山] (枕詞)「龍田山」は奈良県生駒郡三郷村大字立野の西方の山。 頭音を重ねて「たつ」に冠する。 万葉、[10-2294]「龍田山たちてもゐても君をしぞ思ふ」 だつたん[韃靼] (名)蒙古民族の一部タタール族のことであるが、満州族の意にも用いる。 「国姓爺合戦」などでは、明を亡ぼした清を「韃靼」と書いている。 たつなみの[立つ波の] (枕詞)寄せては返すことのしばしばであることから「しばしば」に、また、波の寄ることから同音の「夜」に冠する。 万葉、[12-3026]「立つ波のしばしば佗びし斯くて来じとや」(「しばしば」別訓「しくしく」)。 続後撰、五、秋上「たつなみの夜(よる)ぞ短き星合の空」 たつのいち[辰の市] (地名)昔、辰の日に立った市で、奈良県添上郡辰市村の辺。 枕草子、一「市は、たつのいち」 たつのくち[龍の口] (地名)神奈川県鎌倉郡川口村大字片瀬の一地区。 太平記、三十四、吉野御廟神霊事「龍の口に引きすゑて、我が手にかけて切り候ふべしとこそ申し候ひつれ」 だつま[達摩] (名)数珠の大玉 たつみ[辰巳・巽] (名)方角の名。 辰と巳との間、即ち東南。 古今集、十八、雑下「わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり 喜撰法師」=私の庵は京都の東南に当たり、鹿の住む山に、このように(しかぞ)平安に住んでいる。 それなのに、世の中の人は世を憂く思って住む宇治山だと言っている。 (「しかぞ」「世をう」すべてかけことば) たつもはしたゐるもはした…イル… (句)「はした」は「半端」。 立っていてもおちつかず、すわっていてもおちつかず。 竹取「皇子(みこ)は、立つもはした、居るもはしたに居給へり」 たて[館] (名)「館(たち)」の転。 その項を見よ。 たて[楯] (名) 1 前に立て、または手に持って、敵の矢を防ぐに用いる具。 附図参照。 2 転じて、防ぎ守ること。 たてあき[帯刀] (名)「たちはき」の転。 その項を見よ。 たてあふタテアウ[立て合ふ・楯合ふ] (動、四)はりあう。 抵抗する。 楯をつく。 古今著聞集、十二、偸盗「汝、我にたてあはむ。 心をさなきことな言ひそ」 たてえぼし[立烏帽子] (名)普通の烏帽子をいう。 「折烏帽子」に対する語。 たてじとみ[立蔀・竪蔀] (名)室内を見すかされないように立てる蔀。 寝殿造の簀子の前などに用いる。 枕草子、一「はつかに見いれたれば、立蔀などの見ゆるに」 たてたてし (形、シク)ひどく意地を張る。 雄雄しく、強い。 古今著聞集、十五、宿執「世のがれ、身を捨てたれども、心はなほ昔にかはらず、たてたてしけるなり」(西行をいう) たてはきタテワキ[帯刀] (名)「たちはき」に同じ。 たてはふかく[立羽不角] (人名)江戸時代の俳人。 江戸の人。 宝暦三年(1753)没、年九十一。 主著、海鏡猿田彦。 たてぶみ[立文・竪文] (名)書状を礼紙または他の白紙で包み、上下の部分を筋違いに左へまたは右へ折り、のち、また裏の方へ折るのが正式。 略式のものは書状を細く長く畳んで、その端をひねる。 それを「ひねりぶみ」という。 枕草子、二「すさまじきもの……ありつる文の結びたるも、たて文も、いときたなげにもちなしふくだめて」 たてまだす (動、四)「たてまつる」に同じ。 だてら (接尾)その身にふさわしくないことをする意をあらわす語。 法師だてら。 女だてら。 たどき (名)方便。 たづき。 万葉、[5-904]「為(せ)むすべのたどきも知らに」(「知らに」は「知らないで」) たどころ[田所] (名) 1 「荘園」の古称。 古事記、下「すめらみこと、ここに阿知の直(あたひ)を、はじめて蔵官(くらつかさ)に任(め)したまひ、またたどころをたまひき」 2 昔、国司の庁に属し、田畑のことをつかさどった役所。 たとしへなしタトシエナシ (形、ク)たとえようもない。 比較にならぬ。 枕草子、三「たとしへなきもの、夏と冬と、よるとひると」源氏、須磨「たとしへなき御ありさまをいみじと思ふ」 たどしま[たど島] (地名)未詳。 讃岐の国、香川県多度津市の沖合にある島かという。 枕草子、九「島は……たどしま」 たとつくの[立と月の] (枕詞)「立つ月の」の東国方言。 月が新しく立って、次第に経過してゆくことから「流れ行く」の意の「流(のが)なへ行く」に冠する。 万葉、[14-3476]「立と月ののがなへ行けば恋(こふ)しかるなも」 たとへうたタトエ…[譬へ歌] (名)自分の心に感じたことを他物にたとえて詠ずる和歌。 古今集、序「四つには、たとへ歌」 たどほしタドオシ[た遠し] (形、ク)「た」は接頭語。 「遠し」に同じ。 たどほみタドオミ (副)前項参照。 遠いので。 万葉、[17-3957]「たまほこの道をたどほみ、山河の隔(へな)りてあれば」 たどり[辿り] (名) 1 筋道をたどって知ること。 せんさく。 源氏、常夏「心わかき、たどりの少なきなど」 2 思案。 狭衣、二、下「いとど来しかた行く末のたどりも失せて」 3 迷うこと。 隆信集、雑、三「家を出でて見るだに明かき夜半の月入らむ山ぢにたどりあらすな」 たどる[辿る] (動、四) 1 せんさくする。 深く思慮する。 源氏、若紫「あやし、ひが耳にやとたどる」同、帚木「をさなごこちに、深くもたどらず」 2 知らぬ道をいろいろと迷いたずねて行く。 源氏、帚木「渡殿に分け入りてからうじてたどり来たり」 たなうち (名)「手のうち」の義。 たなごころ。 たなうら。 神代紀、上「左手のたなうち」 たなうら (名)「手の裏」の義。 たなごころ。

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十訓抄『大江山』解説・品詞分解

大江山の歌 たはぶる 意味

十訓抄「大江山」の現代語訳・原文です。 動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の活用形・活用の種類・意味も掲載しています。 和泉式部、保昌が妻にて、丹後に下りけるほどに、 和泉式部が、保昌の妻として、丹後の国に下った頃に、 ・ 下り … ラ行四段活用の動詞「下る」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 京に歌合ありけるに、小式部内侍、歌詠みにとられて、 京で歌合があったときに、小式部内待が、歌合の詠み手として選ばれて、 ・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 ・ とら … ラ行四段活用の動詞「とる」の未然形 ・ れ … 受身の助動詞「る」の連用形 詠みけるを、定頼中納言たはぶれて、小式部内侍ありけるに、 詠んだところ、定頼中納言がふざけて、小式部内侍がいたときに、 ・ 詠み … マ行四段活用の動詞「よむ」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 ・ たはぶれ … ラ行下二段活用の動詞「たはぶる」の連用形 ・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 「丹後へ遣はしける人は参りたりや。 「丹後へ使いに出した人は戻って参りましたか。 ・ 遣はし … サ行四段活用の動詞「遣はす」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 ・ 参り … ラ行四段活用の動詞「参る」の連用形 ・ たり … 完了の助動詞「たり」の終止形 いかに心もとなくおぼすらむ。 」と言ひて、 どれほど待ち遠しく思っておられましょう。 」と言って、 ・ 心もとなく … ク活用の形容詞「心もとなし」の連用形 ・ おぼす … サ行四段活用の動詞「おぼす」の終止形 ・ らむ … 現在推量の助動詞「らむ」の連体形 ・ 言ひ … ラ行下二段活用の動詞「言ふ」の連用形 局の前を過ぎられけるを、御簾より半らばかり出でて、 部屋の前を通り過ぎられたところ、御簾から半分ほどのり出して、 ・ 過ぎ … ガ行上二段活用の動詞「過ぐ」の未然形 ・ られ … 尊敬の助動詞「らる」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 ・ 出で … ダ行下二段活用の動詞「出づ」の連用形 わづかに直衣の袖をひかへて、 ほんの少し直衣の袖を引き止めて、 ・ わづかに … ナリ活用の形容動詞「わづかなり」の連用形 ・ ひかへ … ハ行下二段活用の動詞「ひかふ」の連用形 大江山いくのの道の遠ければ 大江山から生野を通って行く道が遠いので、 ・ 遠けれ … ク活用の形容詞「遠し」の已然形 まだふみもみず天の橋立 まだ天の橋立を訪れていないし、母からの便りも見ていません。 ・ ふみ … マ行四段活用の助動詞「ふむ」の連用形 ・ み … マ行上一段活用の助動詞「みる」の未然形 ・ ず … 打消の助動詞「ず」の終止形 と詠みかけけり。 と歌を詠んだ。 ・ 詠みかけ … カ行下二段活用の助動詞「詠みかく」の連用形 ・ けり … 過去の助動詞「けり」の終止形 思はずに、あさましくて、「こはいかに。 思いがけず、驚きあきれて、「これはどうしたことだ。 ・ 思はずに … ナリ活用の形容動詞「思はずなり」の連用形 ・ あさましく … シク活用の形容詞「あさまし」の連用形 かかるやうやはある。 」とばかり言ひて、 こんなことがあるだろうか。 」とだけ言って、 ・ かかる … ラ行変格活用の動詞「かかり」の連体形 ・ ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形 ・ 言ひ … ハ行四段活用の助動詞「言ふ」の連用形 返歌にも及ばず、袖を引き放ちて、逃げられけり。 返歌することもできず、袖を振り払って、お逃げになった。 ・ 及ば … バ行四段活用の助動詞「及ぶ」の連用形 ・ ず … 打消の助動詞「ず」の連用形 ・ 引き放ち … タ行四段活用の動詞「引き放つ」の連用形 ・ 逃げ … ガ行下二段活用の動詞「逃ぐ」の未然形 ・ られ … 尊敬の助動詞「らる」の連用形 ・ けり … 過去の助動詞「けり」の終止形 小式部、これより歌詠みの世に覚え出で来にけり。 小式部は、この時から歌人としての世の評判が出て来るようになった。 ・ 出で来 … カ行変格活用の動詞「出で来」の連用形 ・ に … 完了の助動詞「ぬ」の連用形 ・ けり … 過去の助動詞「けり」の終止形 これはうちまかせての理運のことなれども、 このことは、そうなって当然のことなのだが、 ・ うちまかせ … サ行下二段活用の動詞「うちまかす」の連用形 ・ なれ … 断定の助動詞「なり」の已然形 かの卿の心には、これほどの歌、 あの卿の心の中では、これほどの歌を、 ただいま詠み出だすべしとは、知られざりけるにや。 すぐさま詠み出だすことができるとは、お思いにならなかったのだろうか。 ・ 詠み出だす … サ行四段活用の動詞「詠み出だす」の未然形 ・ べし … 可能の助動詞「べし」の終止形 ・ 知ら … ラ行四段活用の動詞「知る」の未然形 ・ れ … 尊敬の助動詞「る」の未然形 ・ ざり … 打消の助動詞「ず」の連用形 ・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形 ・ に … 断定の助動詞「なり」の連用形.

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古今著聞集 小式部内侍が大江山の歌の事 で質問です。現代語訳についても調べ...

大江山の歌 たはぶる 意味

「黒=原文」・ 「赤=解説」・ 「青=現代語訳」 原文・現代語訳のみはこちら 問題はこちら 和泉式部、保昌が妻にて、丹後に下り けるほどに、京に歌合 あり けるに、 和泉式部=歌の名人、小式部内侍の母 ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形 あり=ラ行四段動詞「あり」の連用形 和泉式部が、保昌の妻として、丹後へ下った時に、都で歌合があったところ、 小式部内侍、歌詠みに とら れて、歌を詠み けるに、定頼中納言 たはぶれて、 小式部内侍=母である和泉式部ほどではないが、すぐれた歌を作る歌人であった。 しかし、和泉式部が代わって作っている噂があった。 とら=ラ行四段動詞「とる」の未然形、選ぶ、選び出す れ=受身の助動詞「る」の連用形、接続は未然形 ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形 たはぶれ=ラ行下二動詞「たはぶる」の連用形、ふざける、からかう 小式部内侍が、歌合せの歌人に選ばれて、歌を詠んだが、定頼中納言がふざけて、 小式部内侍、局(つぼね)にあり けるに、「丹後へ 遣はし ける人は 参り たり や。 いかに 心もとなく おぼす らん。 」と言ひて、 ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形 遣はし=サ行四段動詞「遣はす」の連用形、派遣する、使いを送る 参り=ラ行四段動詞「参る」の連用形、「行く」の謙譲語。 参る、参上する たり=完了の助動詞「たり」の終止形、接続は連用形 や=疑問の終助詞 いかに=副詞、どんなに~、さぞ~ 心もとなく=ク活用の「心もとなし」の連用形、待ち遠しい、じれったい。 「思う」の尊敬語。 お思いになる らん=現在推量の助動詞「らむ」の連体形が音便化したもの、接続は終止形(ラ変なら連体形)。 係り結び 小式部内侍が局(部屋)にいた時に、「(母の和泉式部に代作してもらうために)丹後へ派遣した人は帰って参りましたか。 どんなに待ち遠しく思いなさっているだろうか。 掛詞の見つけ方(あくまで参考に、いずれも必ずではありません。 「ふみ」が掛詞となっており、「踏み」と「文」が掛けられている。 「橋」が「踏み」の縁語となっている。 つまり、ある言葉から連想されるような言葉。 (母のいる丹後までの)大江山を越えて生野を通って行く道が遠いので、まだ(丹後の名所である)天の橋立に足を踏み入れていませんし、(母からの)文も見ておりません。 と詠みかけ けり。 思はずに あさましくて、 けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形 思はずに=ナリ活用の形容動詞「思はずなり」の連用形、意外である、思いがけない あさましく=シク活用の形容詞「あさまし」の連用形、驚きあきれるばかりだ、びっくりすることだ と詠みかけた。 (定頼は、小式部内侍が即興ですぐれたこの歌を詠んだのを)意外だと驚いて、 「 こは いかに、 かかるやう や は ある。 」とばかり言ひて、 こ=代名詞、これ、ここ いかに=副詞、どのように、なぜ かかる=連体詞、このような、こういう や=疑問・反語の係助詞、結び(文末)は連体形となる。 係り結び。 ここでの結びは「ある」。 反語 は=強調の係助詞。 現代語でもそうだが、疑問文を強調していうと反語となる。 「~か!(いや、そうじゃないだろう。 なので、「~かは・~やは」とあれば反語の可能性が高い。 ある=ラ変動詞「あり」の連体形。 文末だが、係助詞「や」を受けて連体形となっている。 係り結び。 「これはどういうことか、こんなことがあるか。 (いや、ない。 )」とだけ言って、 返歌にも及ばず、袖を引き放ちて 逃げ られ けり。 小式部、これより、 歌詠みの世に おぼえ 出で来 に けり。 逃げ=ガ行下二段動詞「逃ぐ」の未然形 られ=尊敬の助動詞「らる」の連用形、接続は未然形 けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形。 もう一つの「けり」も同じ。 歌詠み=名詞、歌人 おぼえ=名詞、世評、良い評判 出で来(いでき)=カ変動詞「出で来(いでく)」の連用形、出てくる、現れる、起こる。 直後に接続が連用形である助動詞「に」が来ているため、連用形となり「出で来(き)」と読む。 に=完了の助動詞「ぬ」の連用形、接続は連用形 返歌もできず、袖を引き払ってお逃げになった。 小式部は、これ以降、歌人の世界でよい評判が出て来た。 しかし、定頼は小式部内侍がこれほどの秀歌をとっさに読むとは思っていなかったため驚き、その秀歌に対してふさわしい返歌を思いつかず、いたたまれなくなって逃げだした。 これはうちまかせての 理運のこと なれ ども、 理運=名詞、物事が理にかなっていること、道理、自然。 なれ=断定の助動詞「なり」の已然形、接続は体言・連体形 ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。 これは当然の道理のことなのだけれども、 かの卿の心には、これほどの歌、ただいまよみ出だす べしとは知ら れ ざり ける に や。 彼の(かの)=あの、例の。 「か(代名詞)/の(格助詞)」と品詞分解する。 べし=可能の助動詞「べし」の終止形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。 「べし」は㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。 れ=尊敬の助動詞「る」の未然形、接続は未然形。 「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の4つの意味がある。 ざり=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形 ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形 に=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形 や=疑問の係助詞、結びは連体形となるはずだが、ここでは省略されている。 「あら(ラ変・未然形)む(推量の助動詞・連体形)」などが省略されていると考えられる。 場合によって敬語になったり、助動詞がついたりする。 「にや・にか」だと、「ある・侍る(「あり」の丁寧語)・あらむ・ありけむ」など 「にこそ」だと、「あれ・侍れ・あらめ・ありけめ」など あの卿(=定頼)の心には、(小式部内侍が)これほどの歌を、即座に詠むことができるとは、お考えにならなかったのであろうか。 lscholar.

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