哲学にゅ。 哲学(てつがく)の意味

第1回 哲学ってなんだ?|はじめての哲学的思考|苫野 一徳|webちくま

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山口周さんの書く切れ味鋭い文章が好きで、これまでに出版された著作はおそらくすべて読んでいますが、今回のこの本がいちばん「筆が走っている」印象を受けました。 もともと大学院まで行って哲学を専門的に勉強されたキャリアの持ち主だけあって、経営コンサルタントとなった今も哲学について語るのが好きなんだろうなぁと。 いや、哲学について語るというより、哲学者が考え生み出してきた様々な「観点」をもとに今の世の中を観察して、人とは違う論考を繰り出して世間にぶつけるのが好きなんだろうなぁと思います。 よくある哲学の入門書とこの本が大きく違うのはまさにこういうところで、「この哲学者はこんなことを考えた~」と古代ギリシア時代にまで遡って時系列にただ紹介するのではなく、自分の好きな哲学者を好きに選んで、その人が人生を賭して生み出した観点を使って、「自分の意見」を主張している。 だから厳密な意味では哲学の入門書とは言えないかもしれませんが、哲学の「使い方」を勉強するためには最良の入門書ではないかと思いました。 ちなみに哲学者だけでなく、マズローやデシ、チクセントミハイなど、経営学の教科書にも登場するような心理学者も数多く取り上げられています。 また「ブラックスワン」や「反脆弱性」などの名著を書いたタレブに、「ソマティックマーカー仮説」を提唱した脳科学者のダマシオなども含まれており、著者の守備範囲の広さに驚かされます。 教養が深いとは、まさにこういう、ジャンルを問わず知見を取り込み、その知見を使って自分の主張を生み出すことを言うのではないかと思います。 本文はとても面白いし、現代日本の問題に即して書かれている。 しかし、人物写真の下に載っている人物紹介がほぼWikipediaの内容で、言い回しも同じ。 どこかにWikipediaから引用ですと堂々書いてある?見落としていたら申し訳ない。 第1部で「類書との違い」を明確に宣言している。 その一環であり、引用が宣言されているのであれば、編集方針としてはアリかもと考えるのだが、ざっと一読した限りではそのような記述は見当たらなかった。 本文が良いだけにどこか残念であり、不安な気持ちになる。 紹介文は山口氏以外が書かれたのだろうか? --------- ドイツ・プロイセン王国出身の哲学者、思想家、経済学者、革命家。 1845年にプロイセン国籍を離脱しており、以降は無国籍者であった。 1849年(31歳)の渡英以降はイギリスを拠点として活動した。 フリードリヒ・エンゲルスの協力を得ながら、包括的な世界観および革命思想として科学的社会主義(マルクス主義)を打ちたて、資本主義の高度な発展により共産主義社会が到来する必然性を説いた。 ライフワークとしていた資本主義社会の研究は『資本論』に結実し、その理論に依拠した経済学体系はマルクス経済学と呼ばれ、20世紀以降の国際政治や思想に多大な影響を与えた。 --------- たとえばマルクスの紹介文は(2019年1月14日現在)、 ・フリードリヒ・エンゲルスの協力を得つつ(本書) ・フリードリヒ・エンゲルスの協力を得ながら(Wikipedia) 以外は全く同じである。 私は大学教員という職業柄、哲学に関する類書を人並み以上には読んできた。 しかし、哲学をビジネスに活かすという視点で考えたことはなかったので、一体どのような内容なのかと興味を持ち、読んでみた。 結果、冒頭部分のみで読むに値しないと判断した。 大きな理由は1つ。 「批判的」という語を、単に物事を批判するという意味で用いていたためである。 批判的とは日常用語での批判という意味以上に、反省的といった意味合いも含まれる幅広い概念である。 これは、哲学を真に学んだことがあるならば誰でも知らなければならない基本的な事柄である。 また、その他の項目も目を通してみたが、内容は極めて表面的であり、個々の哲学者やその思想について原典を読んでいないのではないかと思われる。 発想は良かっただけに、非常に残念である。 もう少し学びを深めてから、再度同じテーマに挑戦してみて欲しい。 本書は、仕事に直接役立つとの観点から、著者が選定した50の「哲学・思想のキーコンセプト」を紹介したものだ。 哲学を学ぶことに対して著者は、起きていることを正確に洞察する、ものごとを批判的に思考する、課題を設定する、歴史上の悲劇を二度と起こさないためという四つの理由をあげ、その重要性を指摘する。 さらに本書は、哲学の入門書ではあるが、使用用途ごとに整理されているなど他の類書とは異なる方法で編集されており、読者が途中で挫折しないよう工夫されているところが、大きな特徴だ。 キーコンセプトは「人」「組織」「社会」「思考」の四つに関するものとして整理されている。 以下、印象に残ったものを取り上げる。 「人」に関するキーコンセプト ・ロゴス・エトス・パトス-論理だけでは人は動かない アリストテレス ・ルサンチマン-あなたの「やっかみ」は私のビジネスチャンス フリードリッヒ・ニーチェ ・権威への服従-人が集団で何かをやるときには、個人の良心は働きにくくなる スタンレー・ミルグラム 「組織」に関するキーコンセプト ・悪魔の代弁者-あえて「難癖を付ける人」の重要性 ジョン・スチュアート・ミル ・ナッシュ均衡-「いい奴だけど、売られたケンカは買う」という最強の戦略 ジョン・ナッシュ ・権力格差-上司は、自分に対する反対意見を積極的に探せ ヘールト・ホフステード 「社会」に関するキーコンセプト ・疎外-人間が作り出したシステムによって人間が振り回される カール・マルクス ・神の見えざる手-「最適な解」よりも「満足できる解」を求めよ アダム・スミス ・第二の性-性差別はとても根深く、血の中、骨の中に溶け込んでいる シモーヌ・ド・ボーヴォワール 「思考」に関するキーコンセプト ・コギト-一度チャラにして「疑えないこと」から再スタートしてみよう ルネ・デカルト ・脱構築-「二項対立」に縛られていないか? ジャック・デリダ 前著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』がなかなか腹落ちした内容の本だったため、同じ著者の2冊目として本書を手に取ってみた。 読んでいて「うんうん、あるある」と思える箇所か多く、哲学を実用的に使うという点で有意義な目的の本と言えよう。

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哲学について学んでみたい初心者さんにおすすめな「哲学の入門書」。 そもそも哲学とは?というところから解説してくれる本や、倫理とは何が違うの?などといった疑問に答えてくれるものなど、さまざまな本があります。 しかし、一口に哲学書と言っても、哲学者の思想を記したもの・社会における哲学の役割を解説したもの・哲学者と相談相手との対談・質問形式で展開し、哲学の世界に触れるもの…。 書籍の数だけ内容はそれぞれ。 一体どれを選ベばいいのか迷ってしまう、という方も多いのでは? そこで今回は、 哲学入門書の選び方・おすすめの哲学入門書をランキング形式でご紹介します。 これから哲学を学ぶ学生はもちろん、社会に出て哲学に向き合ってみたくなった方にもピッタリの書籍が多数ランクインしていますよ。 ぜひあなたの心の琴線に触れるような、素敵な一冊を見つけてください! 入門書から少し進んだ哲学書を探しているという方におすすめなのがこちら。 「正義とは」をテーマに、1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら1人を殺すべきか?など、具体的事例をあげて思考実験が繰り返されておりわかりやすいと評判です。 さまざまな哲学者たちの思想を究極の例に絡めながら展開されているので、興味を失わずに読み進められるでしょう。 ハーバード大学の講義とのことで、日本人には理解しがたい文化的な背景が垣間見られるという方もいるようです。 取り上げられる哲学者 (イマヌエル・カント)・(ジョン・スチュアート・ミル)・(ジョン・ロールズ)ほか テーマ 「正義」について 歴史・流れ - イラスト・図 - ライフネット生命の創業者で、現在は立命館アジア太平洋大学の学長という異色の経歴をもつ著者による哲学と宗教の総まとめです。 人類の歴史を語る上で切り離せない 哲学と宗教の流れを知ることで、人の根底にあるものが見えてくるような1冊となっています。 どのような哲学が、どんな時代背景で生まれ、どう発展してきたかが一目瞭然。 自分の学びたい分野が未確定の人が、興味の持てる哲学を探すのにも向いています。 装飾的な言葉を用いず無駄を省いている上に、468ページもあるという情報の密度の高さも魅力的です。 取り上げられる哲学者 ソクラテス・プラトン・アリストテレス・孔子・カント ほか テーマ 哲学と宗教の歴史 歴史・流れ 有 イラスト・図 有 宗教的な意味合いの「死」とは異なり、 哲学的に「死」をどう考えるかを細かなテーマ別に掘り下げていくスタイルです。 たとえば、死後にも自己が存在するのかというテーマでは、そもそも「私」とは何かから入っていき死後の存在とは何をもって定義するかを考えています。 もともとはイエール大学での講義だったこともあり、 あえて疑問を投げっぱなしにすることで、 本ながら読者参加型になっているのが面白いところ。 「死」に関するさまざまな疑問について、異なる立場の双方の意見を取り上げ読者が考えることのできる内容です。

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【哲学】我思う、ゆえに我あり。おもしろい哲学まとめ【理系】

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本書は、哲学の入門書としては、比較的新しいもので、2014年に刊行されたものです。 著者は、名古屋大学大学院の現役教授として、活躍されており、科学哲学を専門とする、哲学者です。 これまでの哲学入門ですと、概ね、ギリシア哲学から始まる、哲学の歴史を辿り、それぞれの思想を紹介するような内容のものがありますが、そうしたものは、既に数多く書かれているので、本書は、そうした内容ではありません。 そこで、本書で取り上げる哲学者としては、よく知られている、プラトンやニーチェ、デカルト、ヘーゲルといった方々は、ほとんど登場しません。 その代わり、デネット、ミリカン、ペレブームなど、一般に知られてはいないが、現役で活躍中の哲学者が取り上げられています。 つまり、本書は、「現代の」哲学入門となっていることになります。 このため、哲学の本当の基礎の基礎から学びたいという方は、本書の前に、これまで多く書かれてきた哲学の歴史と思想の紹介を行っている書物を読んだ方がよいと思います。 私は、既にそうした入門書は読んだうえで、本書を読んでみることにしました。 本書で著者は冒頭、哲学の中心主題は、「ありそでなさそでやっぱりあるもの」について考えることだ、と述べています。 この書き方からして、文章はとても平易で、そうした意味では、入門書と呼べると思います。 また、自分の哲学的思考も明らかにしていて、「唯物論的・発生的・自然手記的観点」からの「哲学入門」だと宣言しています。 ここまでが、「序 これがホントの哲学だ」であり、以下、「ありそでなさそでやっぱりあるもの」である、「第1章 意味」「第2章 機能」「第3章 情報」「第4章 表象」「第5章 目的」「第6章 自由」「第7章 道徳」と論を進めていきます。 このため、入門ではあるけれど、章が進むにつれて、「科学的知見と方法」が複雑に絡み合ってくるため、図表での説明はあるものの、論理的思考をかなり求められる内容となっていると感じました。 既存の哲学入門は、「哲学の知識の伝授」であり、本当に哲学を学ぶには、「論理的思考」が必要となってきます。 このため、本書は、「哲学の知識」の基礎を吸収した方が、哲学の基本である「論理的思考」を学ぶ「入門書」と呼べるのではないでしょうか。 この本、初版は2014年3月10日。 割と出てすぐに購入したつもりでしたが、すでに5月20日で第4刷、売れてますね。 で、読み終えたのがつい数日前。 なんでこんなに時間がかかったかというと、分厚すぎてビビったのと、カバンに入れて持ち歩くと重かったから。 読み終えた結論、内容充実すぎてコストパフォーマンス最高。 著者も本屋も元が取れんやろ!感想はそこかい!! 著者は中学生の時に谷村新司やさだまさしを好むような人間になるまいと決めたとのことですが、私も中学生の時にそれまでの長嶋ファンをやめて、東京在住でありながら自由意志で広島カープのファンになった唯物論者ですから、議論がいちいちスッキリくるのでした。 自由を唯物論的に位置付けるために、関心領域を拡大することに自覚的な哲学者たちが様々に取り組んできたことが良くわかりました。 意味、機能、情報から始まって膨大なな議論がポパー的に反証可能性に開かれていることを丁寧に追いながら、最終章の人生の意味まで繋がって行くところが、まさに戸田山先生の志向性、目的手段推論そのものを体現しています。 それにしても、最終章に近くなってそれまでのクールなオタク的な議論が、熱い(良い意味でですよ)議論になってきます。 「我々は普通人生に真剣に取り組んでいる。 ふざけた態度でその日を能天気に暮らしている人ですらそうだ。 だって人生がもたらすその時々の必要に応じて、次から次へと目的手段推論を行って最善と判断した行為を継続しているのだから。 ビールを飲みたいからパーマ屋に行く、というのが真にふざけた生き方だ。 …われわれは…おおむね自分の人生を生きるに値するものとしてまじめに追求している」いいなあ!! 「自己啓発書の大嫌いな唯物論者が書いた本当の自己啓発書」を書いてくれれば読みたいですね。 前向きに生きていこう、とそんな気になれる。 科学の発達、DNAやら量子力学やら、ですべてが科学で乗り切れる、そんな時代の気分が一方にある。 そして、いやいや、生きる意味・・とか、意識は科学では解明できないとか、そんな気分の人々もいる。 そんな二つの流れをぐっとまとめてひとつに(止揚)しようという・・・本来ならすごく面倒くさい話を独特の語り口で納得させてくれました。 AIについての議論からドイツ観念論を推す論調もある(「AI原論」)このごろですが、やっぱり科学の時代を生きたわたしには、唯物論の枠の中でも生きる指針が見いだせる戸田山先生の話は腑に落ちる。 哲学とは、個々の人生の超越的な無意味さ(たとえば、どうせ死ぬのになぜ生きるとか、人類史の中でのちっぽけな自分なんて無意味とか)にどんな形で納得できる解釈を与えるのかということだと思う。 観念論もひとつの答えだし、戸田山先生が紹介する唯物論で押し切るのもひとつの答えかと思う。 最終的にはそれぞれ個人がよりよき生き方ができるか、ということだが、考え方の幅を広げるには学びは必要。 唯物論側からの考え方を学ぶにはベスト。 本書は、「科学の成果を正面から受け止め、科学的世界像のただなかで人間とは何かを考える哲学」として、「意味」「道徳」「自由」といった哲学的主題をいかにして自然科学的、物理的な世界と調和させるかを論じるものである。 章立ては以下の通り。 序「これがホントの哲学だ」は、本書の問題関心と構成について。 第1章「意味」は、意味とは何か、「心的表象」としての意味を理解するとはどういうことかについて。 チューリング・テスト、サールの「中国語の部屋」、ルース・ミリカンの「目的論的意味論」を取り上げる。 第2章「機能」は、目的論的意味論における機能の意味について。 ミリカンの「起源論的説明」を中心に取り上げる。 第3章「情報」は、情報とは何か、つまり「解読者を前提としない情報」=「自然的情報」をどのように理論化するかについて。 シャノンの情報理論、フレッド・ドレツキの情報理論などを取り上げる。 第4章「表象」は、「志向性」概念を導入し、自然的情報からいかにして表象が生じるのかについて。 ミリカンのドレツキ批判などを取り上げる。 第5章「目的」は、表象の進化について。 「目的手段推論」「オシツオサレツ表象」「アフォーダンス」などを取り上げる。 第6章「自由」は、「自由と決定論の問題」について。 ダニエル・デネットの両立論を中心に取り上げる。 第7章「道徳」は、「道徳的に重要な自由意志」について、自由意思がなくなると道徳もなくなるのか、という問いを中心に論じる。 ダーク・ペレブームのハード非両立論などを取り上げる。 1) 著者によれば、本書は「唯物論的・発生的・自然主義的観点からの哲学入門」であるという。 しかし、本書の課題は「発生的観点」に基づいて、科学的・物理的には実在しそうにないと思われる「意味」「情報」「自由」「道徳」といったものを、物理的対象と物理的相互作用から成るモノだけの世界にいかに描き込むのかにあり、一般に「名指し」されるような何がしかの哲学思想あるいは哲学者について、分かりやすく紹介する類の「入門書」ではない。 2) 本書の特徴の1つは、著者独特の軽妙な文体である。 非常な難解な議論を、分かりやすい言葉や例に置き換え、ジョークを交えつつ、しっかりと論を進めている点は特筆に値するが、他方、文体に惑わされているようでもある。 その上、全446ページと新書としてはなかなかのボリュームである。 3) 本書は、「発生的」観点について多く議論しているが、「自然主義」「唯物論」に関しては紙幅をあまり割いていない。 そのため、著者のいう自然主義が科学主義とどのように異なるのか判然としない。 本書は、著者の立場である「発生的な唯物論プラス自然主義」を出発点として描かれているため、それに対する批判や反批判といった議論はなく、所与とされているのである。 この点で本書は通常の「入門書」とはいえない。 4) しかし、本書は著者自身の哲学をコンパクトに分かりやすく論じたという意味で「入門書」といえる。 また、デネット、ミリカン、ドレツキ、ペレブームなどあまりなじみのない哲学者らの議論を紹介しており、非常に勉強になる。 とてもユニークな『哲学入門』が生まれた。 生命のない物質から生命が誕生し、ヒトのような「高等」生物に進化し、そして歴史を通じて文明と文化を発展させた現代人に至る過程を、一度の切れ目もなく連続的に描き出す。 その生成プロセスから、哲学の基本問題がなぜ現にあるようになっているのかを説明するという野心的な試みで、日本では初めてだろう。 特に重要なのは、生命のない物質から「心をもつ」生きものが自然に生成してくる過程であり、哲学的には、因果性から志向性が「だんだんに湧いて出てくる」 p28 ことを示すことである。 本書の成功/不成功はこの一点に掛かっていると言ってもよい。 著者はまず、シャノンの情報理論によって、「情報」がまったくの無生物の世界にも存在することを示す。 そして、ドレツキとミリカンの表象理論によって、バクテリアでも「表象」をもち、その生命活動の中にすでに「志向性」や「意味」が存在することを明らかにする。 「煙」は「火が燃えている」ことを告げ、ウサギの「足跡」は「ウサギがそこを歩いた」ことを告げる キツネはそう理解して獲物を追う。 「表象」は自己以外の何かを「告げる」「意味する」という「志向性」を持っており、解釈する人間の「心」など存在しなくても、それは世界の出来事そのものに含まれている。 そして生きものの活動の「本来の機能」は、生存に必要な「真なる表象」を与える感覚器官を自然選択によって進化させる。 物理学には「故障」「誤動作」という概念は存在しないが、工学においては「本来の機能」は必須であり、エンジンの「故障」「誤動作」は基本概念であるのと似ている。 文の「真/偽」や言語における「否定表現」を、生きものの「本来の機能」から導き出す説明は p221,268 きわめてスリリング。 本書のクライマックスであるp219〜270の記述は、読み手に最高の快感を味わわせてくれる。 後半の「自由意志論」も面白く、道徳の進化論的な説明はやや舌足らずだが、自由意志など道徳に不要というペレブームの議論など、意表を突かれるのが楽しい。

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